刑事手続法
被疑者の逮捕
1.逮捕とは何か
「逮捕」とは、講学上、短時間の身柄拘束を伴う強制処分である。法令上の逮捕には、「通
常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」がある。「別件逮捕」や「再逮捕」という用語は、講学
上・実務上の用語で、逮捕の方法・形態を示す言葉である。「再逮捕」刑事訴訟法上は、メ
ディアで見かける「既に別件容疑で逮捕されている被疑者が、さらに別の犯罪の容疑者と
して逮捕されること」とは異なり、同一被疑事件について再度逮捕する意味で用いられる。
2.逮捕の要件と手続き
(1)通常逮捕(令状逮捕)
通常逮捕とは、被疑者が罪を犯したと疑うに足る相当な理由があるときに、裁判官が発
する逮捕令状に基づいて行われる逮捕である。逮捕状発行の要件は、逮捕の理由と必要背
が存在することである。逮捕の理由の要件とは、被疑者が罪を犯したと疑うに足る相当な
理由があることである(199 条 1 項)。相当な理由は資料となるものの提出によって示すこ
とを要する(規則 143 条)。逮捕の必要性の要件とは、司法警察職員の請求により、被疑者
が罪を犯したと認めるに足る相当の理由があると裁...