会社法
株式会社の機関
問題)株主総会、取締役会、代表取締役、監査役間の関係を論じなさい。
1.総論
2.株主総会
3.取締役会
4.代表取締役
5.監査役
1.総説
本問は、株主総会、取締役会、代表取締役、監査役という株式会社機関相互間の関係が
問題となる。
株式会社の機構の権限・役割については、商法の改正により変遷を見てきたが、戦後 1950
年改正では、それまで万能のかつ最高の機関であった株主総会を中心とする株主総会中心
主義から取締役・取締役会の権限を大幅に強化することで会社の機動性を確保しようと、
取締役・取締役会中心主義に変更された。これは、所有と経営、所有と支配の分離原則の
貫徹を目指したものであった。これにより、万能・最高の株主総会から単なる最高の意思
決定機関へと変え、管理運営およびそれに関する意思形成権限の一部を取締役及び取締役
会に移譲することとなった。
株式会社には、基本的事項に関して意思決定する意思決定機関としての株主総会、業務
執行に関する意思決定機関としての取締役会、執行・代表機関としての代表取締役、並び
に監査機関としての監査役・監査役会が法律上必要的機関として要求される。以下、各々
の機関の関係について検討する。
2.株主総会
最高意思決定機関は株主総会である。会社の基本的事項の意思決定を行うための、議決
権のある株主全員によって構成される必要的機関である。50 年改正によって株主総会は、
商法または定款に定める事項に限り決議できることとなった(商法230条ノ10)。その
後の改正も株主総会の権限を奪っていくような傾向を示しているかのように見える。しか
し、株主総会が最高意思決定機関であることの意義は、その権限の範囲の大きさではなく、
会社にとっていかに重要な基本的事項の決定権限があることである。
商法が規定する株主総会の権限で最も重要な事項は、定款変更、資本減少、取締役の選
解任、合併、解散などの会社組織の存続や変更に関する基本事項である。これらは定款を
もってしても他の機関に委任することはできない。商法が規定する株主総会の決定事項は
他に、監査役の選解任、営業の全部または重要な一部の譲渡、新株の第三者に対する有利
発行、第三者に対する新株予約権の付与などがある。定款の規定する決議事項としては、
新株発行、新株予約権の発行、新株予約権付社債の発行などの相対的記載事項と、その他
商法に記載がない場合の任意的記載事項である。
決議の方法は、資本多数決の原則に従い、持株数に応じた議決権が与えられる。議決は
議題の重要性に応じて、必要票数が定められる。また、少数派の意見の尊重のために、一
定条件を満たす株主には株主提案権が与えられる。さらに、取締役や監査役は株主の質問
に対し一定条件の下で、取締役会及び監査役に説明義務を負わせている。株主総会は、そ
の権限の重要性から法令・定款に沿った手続で進めることが厳格に要請される。手続や議
事等に瑕疵がある場合にはその決議は無効ないし取消の対象とされ、株主総会決議として
の有効性を欠くこととなる。
以上のように、株主総会は会社組織の基本的事項を決定する権限を有し、会社の出資者
として経営陣(取締役等)を選出し、また、その活動について報告を受け質問し判断を下
す重要な役割を負っている。議決権限が縮小された現在もなお、会社の最高意思決定機関
として強力な権限を握っている。
3.取締役会
株主全体によって構成される株主総会が会社の業務執行にあたること
会社法
株式会社の機関
問題)株主総会、取締役会、代表取締役、監査役間の関係を論じなさい。
1.総論
2.株主総会
3.取締役会
4.代表取締役
5.監査役
1.総説
本問は、株主総会、取締役会、代表取締役、監査役という株式会社機関相互間の関係が
問題となる。
株式会社の機構の権限・役割については、商法の改正により変遷を見てきたが、戦後 1950
年改正では、それまで万能のかつ最高の機関であった株主総会を中心とする株主総会中心
主義から取締役・取締役会の権限を大幅に強化することで会社の機動性を確保しようと、
取締役・取締役会中心主義に変更された。これは、所有と経営、所有と支配の分離原則の
貫徹を目指したものであった。これにより、万能・最高の株主総会から単なる最高の意思
決定機関へと変え、管理運営およびそれに関する意思形成権限の一部を取締役及び取締役
会に移譲することとなった。
株式会社には、基本的事項に関して意思決定する意思決定機関としての株主総会、業務
執行に関する意思決定機関としての取締役会、執行・代表機関としての代表取締役、並び
に監査機関としての監査役・監...