ここ数年の間にマスコミをはじめとして、グローバルという言葉を頻繁に聞くようになった。果たして、社会のグローバル化とはどのようなもので、社会にどのような影響を与えるのだろうか。
まず、近代社会から考えていきたい。近代都市とはそもそも移動者が作り上げた都市であった。そして、近代都市とは次々に解体させられていく伝統的な共同体から離散してくる膨大な人間たちを受け入れることによって、自ら巨大化していく中で、内部に新しい社会的秩序と価値を生み出していった。同時に、都市的価値と生活様式を各地に離散させることによって、伝統社会の解体を促し、社会全体の変動を加速させる働きをしてきた。しかし、忘れてはならないのは、近代という時代じたいがすでに今述べたような膨大な人口移動を前提にして作られてきたという事実である。
すなわち、移動に固定的な方向性があった近代化の過程と対比したとき、グローバル化段階の特色は移動の流れの方向の多様性、ランダム性にまず求めることが出来る。
近代化の時代、人の流れは主に、農村から都市へ、途上社会から工業社会へ、そして、旧世界から新世界へと向かった。反対に、都市から農村へ、工業社会から途上社会へと情報や、大量の工業製品が移動していった。近代社会の生成と拡大を促してきたのはこれらの移動の流れであったといっても過言ではない。これに対して、グローバル化でもっとも特徴的なのは情報にせよ、人間にせよ、移動の方向がきわめて多様になっていること、そして特定の方向や内容の優越を単純に前提とすることが出来なくなっているということにある。
その結果、複雑に入り組んだ流れによって、空間的に離れた地点と人間がいろいろな密度で結び付けられるようになっている。
社会学のすすめ
グローバルについての考察
ここ数年の間にマスコミをはじめとして、グローバルという言葉を頻繁に聞くようになった。果たして、社会のグローバル化とはどのようなもので、社会にどのような影響を与えるのだろうか。
まず、近代社会から考えていきたい。近代都市とはそもそも移動者が作り上げた都市であった。そして、近代都市とは次々に解体させられていく伝統的な共同体から離散してくる膨大な人間たちを受け入れることによって、自ら巨大化していく中で、内部に新しい社会的秩序と価値を生み出していった。同時に、都市的価値と生活様式を各地に離散させることによって、伝統社会の解体を促し、社会全体の変動を加速させる働きをしてきた。しかし、忘れてはならないのは、近代という時代じたいがすでに今述べたような膨大な人口移動を前提にして作られてきたという事実である。
すなわち、移動に固定的な方向性があった近代化の過程と対比したとき、グローバル化段階の特色は移動の流れの方向の多様性、ランダム性にまず求めることが出来る。
近代化の時代、人の流れは主に、農村...