1.精神科リハビリテーションの対象
(1)対象者の定義と理解
精神科リハビリテーションの対象は、機能障害、能力障害、社会的不利と、身体、個人、社会の肯定的部分の活用と強化も重視し、これらと環境的要因との力動的関係の中で捉える。対象の多くは、慢性的な精神疾患に罹病し、再発、再燃を繰り返し、結果として入退院を繰り返さざるをえない人々である。
アメリカのアンソニーらは、「長期にわたり精神障害を抱える人が、専門家による最小限の介入で、その機能を回復するのを助け、自分で選んだ環境で落ち着き、自分の生活に満足できるようにすることである。」と、対象と役割を定義づけている。ここでの対象と役割規定は、機能を回復するという意味を広く捉えるとともに、精神科リハビリテーションが長期、機能回復、自己決定、Q O L等の多くの理念を含んだものであることを示している。
2 0 0 1年にW H Oは国際障害分類(ICIDH)を国際生活機能分類(ICF)へと改正した。生活機能を身体レベル、個人レベル、社会レベルの三つの次元として表現し、障害部分だけでなく、肯定的部分もみるようにし、これら全体の相互作用による循環モデルに変更された。これに伴い能力障害は「活動制限」に、社会的不利は「参加規約」となった。?心身・身体機能構造、?活動、?参加の三者が関連し合っていることを把握し、総合的なリハビリテーションが必要であるとしている。
(2)「病」と「障害」の併存
精神障害者における障害の特徴は、病と障害が併存し、この病と障害が多様な振幅をもって立ち現れるということを十分理解する必要がある。つまり、疾患と障害が比例的に軽快、ないし悪化しない場合もある。さらに障害が固定しない点も他の障害者との違いといえる。1)で述べたように障害を包括的に捉えるとともに、偏見による粗害因子、就業を阻害する環境因子なども加味して個々の障害特性を捉える必要がある。
「精神科リハビリテーションの構成について述べなさい。」
1.精神科リハビリテーションの対象
(1)対象者の定義と理解
精神科リハビリテーションの対象は、機能障害、能力障害、社会的不利と、身体、個人、社会の肯定的部分の活用と強化も重視し、これらと環境的要因との力動的関係の中で捉える。対象の多くは、慢性的な精神疾患に罹病し、再発、再燃を繰り返し、結果として入退院を繰り返さざるをえない人々である。
アメリカのアンソニーらは、「長期にわたり精神障害を抱える人が、専門家による最小限の介入で、その機能を回復するのを助け、自分で選んだ環境で落ち着き、自分の生活に満足できるようにすることである。」と、対象と役割を定義づけている。ここでの対象と役割規定は、機能を回復するという意味を広く捉えるとともに、精神科リハビリテーションが長期、機能回復、自己決定、Q O L等の多くの理念を含んだものであることを示している。
2 0 0 1年にW H Oは国際障害分類(ICIDH)を国際生活機能分類(ICF)へと改正した。生活機能を身体レベル、個人レベル、社会レベルの三つの次元として表現し、障害部分だけでなく、...