物質収支について

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    資料紹介

     化学工場、石油工場などを訪れたとき、タンク、塔、配管などを見ることはできるが、化学物質や石油を直接に見ることはほとんどない。原料→中間製品→製品という物質の流れを直接に見ることができないことは、自動車工場、機械工場などと大きく違う点である。そこでは、タンク、塔、配管などの内部で物質の量がどのように変化しているかを、それらを直接に見ることのないまま知ることが必要となる。幸いに、物質の質量は生成することも消滅することもないという質量保存則が先験的に知られているので、この保存則を適用すれば、タンク、塔、配管の内部で物質の質量が増えているか、減っているかを知ることができる。物質の流れの中で、任意に境界線を仮想して限った系について、毎時間あたりの流入質量、流出質量、蓄積質量の間には、化学変化があってもなくても、
    流入質量=流出質量+蓄積質量   (1)
    の関係が成立し、流入質量と流出質量とが等しい場合には、蓄積質量はゼロとなり、その系内に保持される質量は、時間的に変化せず、見かけ上一定となる。この状態を定常状態という。連続運転の工場では、平常は定常状態で運転されている。そこでは、任意の系で、式(1)の量すべてを知ることにより、その系が定常状態で運転されているかどうか、また漏れがあるかどうかを判定するとか、またそれらの量の測定精度をチェックするとかができる。漏れ、詰まりがなければ、流入質量、流出質量、蓄積質量のうち2つを知れば、他の1つの未知質量を知ることができる。物質量または、質量についての収支関係のこのような検討を物質収支という。物質収支は、問題にしている系の全体については勿論、局所についても必ず成立する。つまり、物質収支は工場全体という大きな系であっても、また1つの機器という小さな系であっても、また流れの合流点、分岐点のいずれであっても成立する。

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    物質収支について
     化学工場、石油工場などを訪れたとき、タンク、塔、配管などを見ることはできるが、化学物質や石油を直接に見ることはほとんどない。原料→中間製品→製品という物質の流れを直接に見ることができないことは、自動車工場、機械工場などと大きく違う点である。そこでは、タンク、塔、配管などの内部で物質の量がどのように変化しているかを、それらを直接に見ることのないまま知ることが必要となる。幸いに、物質の質量は生成することも消滅することもないという質量保存則が先験的に知られているので、この保存則を適用すれば、タンク、塔、配管の内部で物質の質量が増えているか、減っているかを知ることができる。物質の流...

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