資料:4件
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国会議員と命令委任
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<国会議員について、いわゆる「命令的委任」の制度を導入する法律を制定することは認められるか>
1.命令的委任とは、議員が選挙人の意思に拘束されることを意味し、選挙人の意思に反するときには、議員は選挙人から直接に議員の地位を奪われることとなる。そのようなことが認められるかを考えるにあたっては、日本国憲法における代表民主制をいかに考えるかが問題となる。具体的には、「国民主権」の意義と「全国民の代表」の意義がいかなるものであるのかを考えなければならない。
2.国民主権とは、国政についての最高の決定権、つまり、国の政治のあり方を最終的に決定する力または権威が国民に存することを意味する。日本国憲法は、前文において「主権が国民に存する」と規定し、また、第1条において「主権の存する日本国民」と規定しており、国民主権原理を採用しているが、その具体的意味内容については争いがある。
(1)この点、国民主権の持つ正当性の契機を重視し、国民主権にいう国民とは、観念的統一体としての全国民であって、現在の国民のみならず、過去・現在・未来の国民を含む自然人たる国民の総体をさし、実定法上国家機関として活動する国民とは異なり、具体的意思表明は予定されていないことを前提に、国民主権とはこのような国民全体が国家権力の根源ないし正当性の根拠であるという原理であると解する説もある(最終的権威説)。しかし、この説では、国民主権が全く建前化してしまい、妥当でない。
(2)たしかに、現行憲法は代表民主制を大原則とし(前文、43条)、憲法改正の国民投票(§96)・最高裁裁判官の国民審査(§79)の他は、人民主権にみられる人民発案、リコール制といった直接民主主義的制度を採用していない。しかし、憲法は国民に憲法改正権を認めており(96条)、憲法という国家の存在を基礎づける基本法をかえる権力が国民に存すること、つまり国家権力の究極的な行使者は国民であることを認めていると解すべきである。
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国会議員への命令委任の可否
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憲法レポート~国会議員について、いわゆる「命令的委任」の制度を導入する法律を制定することは認められるか~
1.命令的委任の可否を考えるにあたって
命令的委任とは、議員が選挙人の意思に拘束されることを意味し、選挙人の意思に反するときには、議員は選挙人から直接に議員の地位を奪われることとなる。そのようなことが認められるかを考えるにあたっては、日本国憲法が代表民主制をいかに考えているかが問題となる。具体的には、「国民主権」の意義と「全国民の代表」の意義がいかなるものであるのかを考えなければならない。
2.国民主権の意義
「命令的委任」の制度を法律で定めることの可否について考える前提として、まず、国民主権の意義が問題となる。国民主権とは、国政についての最高の決定権、つまり、国の政治のあり方を最終的に決定する力または権威が国民に存することを意味する。日本国憲法は、前文において「主権が国民に存する」と規定し、また、第1条において「主権の存する日本国民」と規定しており、国民主権原理を採用しているが、その具体的意味内容については、争いがある。
(1)第1の考えは、国民主権は、国家の意思力を構成する最高の機関意思、国家の原始的直接機関として統治権を発動する力が国民に属するとする主義であり、国民とは参政権を与えられている者の全体であるとのものである(最高機関意思説)。この考えは、国民主権の持つ権力的契機を重視するもので、このように考えなければ、憲法が国民主権を定めた意味が希薄化することを根拠とする。
この考えに対しては、主権は憲法によって決まる以前に想定されるべきものである、国民の中に主権者たる者とそうでない者とがあることになり、民主主義の根本理念に反するといった批判が加えられる。
(2)第2の考えは、国民主権にいう国民とは、観念的統一体としての全国民であって、現在の国民のみならず、過去・未来の国民も含めた自然人たる国民の総体をさすこともあれば、現在の全国民をさすこともあり、実定法上国家機関として活動する国民とは異なり、具体的意思表明は予定されていないことを前提に、国民主権とはこのような国民全体が国家権力の根源ないし正当性の根拠であるという原理であるとするものである(最終的権威説)。この考えは、国民主権の持つ正当性の契機を重視するものである。
その根拠は、主権の名の下に憲法破壊や人権侵害が正当化されることの危険を回避するためには、国民主権における主権概念は国の政治のあり方を最終的に決める権威であり、国民主権は、憲法を制定し、かつ支える権威が国民にあることを意味するものでなければならないこと、治者と被治者に自同性の関係を持たせようとする民主性の原理からすれば、被治者の側を治者の側にすべて含ませる概念設定が妥当であること、現行憲法は代表民主制を大原則とし、憲法改正の国民投票・最高裁裁判官の国民審査のほかは、人民主権にみられる人民発案、リコール制を採用していないことなどである。
この説に対しては、国民主権が全く建前化してしまうとの批判が加えられる。
(3)第3の考えは、国民主権とは、全国民が国家権力の根源であり、国家権力を正当化する根拠であるという意味(正当性契機)とともに、それにとどまらず、国民が国家権力の究極的な行使者であるという意味(権力的契機)を不可分密接に結合させたものであるとの考えで、第1の考えと第2の考えとの折衷的な立場にたつもので、今日の学説における通説の立場であるといえる。
3.「代表」の意義
憲法は、43条1項において、国会を全国民の代表機関
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問題
議員
原理
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命令委任
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国会議員について、いわゆる「命令的委任」制度を導入する法律を制定することは認められるか
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1. 日本国憲法は、その前文で「(国政の)権力は国民の代表者がこれを行使(する)」として代表民主制を宣言しており、「命令的委任」とは、このような国民の代表者である国会議員が国民、さらにいえば選挙民としての国民の意思に法的に拘束されるという考え方のことである。
そこで「命令的委任」制度の導入は認められるかの検討を行うにあたり、日本国憲法が採用する代表制はいかなる性質のものか、そしてその代表制を基礎づける国民主権原理をどのように理解すべきかが、まず問題となる。
2. 日本国憲法は、前文で「主権が国民に存する」ことを宣言し、1条で天皇の地位が「主権の存する国民の総意に基づく」として国民主権原理を掲げる。
(1) まず「主権」の概念については、多義的ではあるが、歴史的理由に基づき、一般に(a)国家権力そのもの(すなわち、国家の統治権)、(b)国家権力の属性としての最高独立性(すなわち、対内的には他のいかなる権力主体にも優越して最高であり、対外的には他のいかなる権力主体からも独立していること)、(c)国政の最高決定権(すなわち、最高独立性をもった国家内部において、誰が政治のあり方を最終的に決定できるかということ)、という3つの異なる意味に用いられる。
(2) 次に主権の主体、すなわち「国民」の意味については、従来から主に、「日本人の全体」として捉える「全国民主体説」と、「有権者の総体(選挙人団)」と捉える「有権者主体説」との見解の対立があるが、主権主体の検討に際しては、以下の点を踏まえる必要がある。
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