ここでは私の専攻分野である社会学・社会史の視点から「電子情報通信技術はどのように発展すべきか」を考えることにしたい。本レポートにおいて要請されているのは、技術的な話を云々することではなく、いわゆる文科系学生の視点から技術革新のあり方をどう見るか、ということであると私は認識しているからである。
「通信」という技術が、異なる2点以上の場所を結ぶ手段であることは言うまでもない。我々人類が電子的な手段による通信技術を創造する以前、異なる2点間を結ぶ通信手段は手紙のような物理的媒体を介するものや、伝書鳩や「のろし」のような自然の力を通信に利用したものに限られていた。このような通信手段は、あくまでも一方通行の通信手段であり、互いの意思を疎通するためには一定のタイムラグを要した。また、そのタイムラグ互いの距離が離れていれば離れているほど長くなり、場所によっては物理的・社会的・政治的あるいは経済的な事情によって通信そのものを行うことが出来ないことも決して珍しいことではなかった。
しかし電信・電話の発明からインターネットに至る電子情報通信技術の爆発的な発展・普及によって、我々人類の生活は急速に変化を遂げている。現代の電子情報通信技術は、我々が地球上のほぼ全域で、双方向の、そしてほとんどタイムラグの無い通信を行うことを可能にしたのである。また、通信において交換される情報の内容も、かつては文字や絵といった程度のものであったが、インターネットにおける通信帯域が爆発的に増加したことにより、音声・映像といった類の情報もやりとりできるようになった。
こうした電子情報通信技術の発展に思いを馳せるとき、私は1980年代末から1990年台のはじめにかけて起きた、ソヴィエト連邦をはじめとする社会主義体制の崩壊において通信技術の果たした役割を想起せずにはいられない。
電子情報通信技術はどのように発展すべきと考えるか
ここでは私の専攻分野である社会学・社会史の視点から「電子情報通信技術はどのように発展すべきか」を考えることにしたい。本レポートにおいて要請されているのは、技術的な話を云々することではなく、いわゆる文科系学生の視点から技術革新のあり方をどう見るか、ということであると私は認識しているからである。
「通信」という技術が、異なる2点以上の場所を結ぶ手段であることは言うまでもない。我々人類が電子的な手段による通信技術を創造する以前、異なる2点間を結ぶ通信手段は手紙のような物理的媒体を介するものや、伝書鳩や「のろし」のような自然の力を通信に利用したものに限られていた。このような通信手段は、あくまでも一方通行の通信手段であり、互いの意思を疎通するためには一定のタイムラグを要した。また、そのタイムラグ互いの距離が離れていれば離れているほど長くなり、場所によっては物理的・社会的・政治的あるいは経済的な事情によって通信そのものを行うことが出来ないことも決して珍しいことではなかった。
しかし電信・電話の発明からインターネットに至る電子情報通信技術の爆発...