少年法は、少年に大人と同様な刑罰を科すことが少年にとっても社会にとっても著しい弊害を生じたという世界各地の体験をふまえて発展してきた。少年が成人と一緒に監獄に収容されていた時代には、体力のない少年たちは不衛生な環境と過酷な労働により健康が破壊され、死に至ることもあった。また、何度も犯罪を繰り返している成人の囚人の影響を受け、監獄が「犯罪学校」とよばれることもあった。そこで成人とは区別された少年監獄がつくられ、次いで、刑罰よりも教育や治療に重点を置いた処遇がなされるようになった。本レポートでは、罪を犯した少年の処遇について、初めに江戸時代以降の日本の歴史を述べる。その後具体的な施設などでの処遇についてその長所・短所をふまえつつ述べ、最後に再犯との関わりを考察する。
非行少年の処遇と再犯
少年法は、少年に大人と同様な刑罰を科すことが少年にとっても社会にとっても著しい弊害を生じたという世界各地の体験をふまえて発展してきた。少年が成人と一緒に監獄に収容されていた時代には、体力のない少年たちは不衛生な環境と過酷な労働により健康が破壊され、死に至ることもあった。また、何度も犯罪を繰り返している成人の囚人の影響を受け、監獄が「犯罪学校」とよばれることもあった。そこで成人とは区別された少年監獄がつくられ、次いで、刑罰よりも教育や治療に重点を置いた処遇がなされるようになった。本レポートでは、罪を犯した少年の処遇について、初めに江戸時代以降の日本の歴史を述べる。その後具体的な施設などでの処遇についてその長所・短所をふまえつつ述べ、最後に再犯との関わりを考察する。
まず日本の歴史を述べる。江戸時代には少年は成人よりも寛大に扱われていた。しかしそれは成人よりも刑罰をやや軽くするといった程度であり、少年独自の処遇があるわけではなく、基本的には成人と同じ処遇を受けていた。明治時代に入ると法整備が進んだ。少年を15歳・10歳・7歳で分け、年齢段階別に重い刑罰から逃れやす...