資料:2件
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『郵政民営化』についての考察
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郵政事業は郵便物の引受総数年間255億通、郵便貯金残高は227兆円、簡易保険の総資産122兆円の巨大な官業である。常勤職員は27万人と、国家公務員の3分の1に上り、日本の個人金融資産の1426兆円の4分の1は郵貯・簡保が占めている。これほどまでに巨大化した最大の理由は、郵貯・簡保が集めた資金が、国の財政投融資制度を通じて社会資本整備などに使用され、戦後の日本の高度経済成長を支えてきたことにある。国の予算が限られる中、国の信用を背景に資金をかき集め、「第2の予算」として財政投融資制度を通じて特殊法人に融資され、必要性が少ない無駄な事業にまで資金が注ぎ込まれている。既に財投制度を見直し、これまで資金の「出口」である特殊法人改革に取り組んできた。今度は、資金の「入口」である郵政民営化の実現を目指そうとしている。郵政事業が民営化されれば、郵貯・簡保に集中していた国民のお金が民間の銀行や保険会社などに流れ、それが企業や個人に融資されるなど、より有効な使用が期待されている。
また、2003年4月1日に発足した日本郵政公社は、公社化に伴って民間の経営手法を取り入れ、初年度には2兆3000億円の黒字を出した。しかし、公社の経営が順調なのは、民間企業にはない「特典」が与えられているからである。公社は、法人税や所得税、事業税などが非課税であることに加え、民間金融機関が破綻に備えて支払う預金保険料も免除されている。さらに、郵便貯金や簡易保険は政府保証で守られている。これでは、民間金融機関の破綻が懸念されている中、国民はますます郵便貯金、簡易保険に頼る構図になってしまう。公社にも、国庫納付金制度はあるが、民間企業ならば毎年支払い義務がある法人税などは支払われず、その分は事実上、国民の負担となっている。小泉首相はこの点に関しても、「見えない国民負担を最小化する必要がある」としている。
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