常習累犯と罪刑法定主義

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    資料紹介

    今度の刑法改正準備草案において業務上過失致死傷罪の刑が加重されたり、新設される常習累犯の規定により絶対的不定期刑の制度が登場することになるように、犯罪の増加・累犯化に対して単に刑罰の面においてのみ解決を与えようとし、それらの現象の真の原因に対しては何の改善策をも講じようとしない方向性が批判されなければならない、という声もある。
    しかし、原点に返って、「社会秩序維持」こそ法律の目的とすれば、一度の重罪と累犯としての微罪とは同罪でなければならない。換言すれば、先に述べた正規分布における「大きさ×頻度=一定」を導入し、「犯した罪の大きさ×実行回数」によって罪刑を決定すべきである。
     具体的に言えば、立ち小便、チューインガムのぽい捨て、人前の喫煙等の微罪行為も、度重なれば刑罰の対象とすべきものである。現に、軽犯罪法では、「他人に不快感をもたらす行為」は禁止されている。とはいえ、たまたまトイレの無い所で尿意を催した者等についてまで、すべて罰則を適用すべきではないだろう。
     すなわち、自身の行為に対して「好ましくない」と自覚し、再発を自ら防ごうとしているかぎりは、「犯罪行為」と断定するのは酷である。しかし、その自覚や反省が乏しく、何度もそうした行為を繰り返す者は、「故意犯」として厳罰に処すことが適当である。すなわち、「社会の液状化」が進行する今日、軽犯罪法をもっと活用することが期待される。 「脱法」行為も、たまたま起こした場合には見逃してよいが、常習的に行なう場合(あのヤミ米販売業者等)には、明らかに「故意犯」であるからして、「偶発的な違法行為以上に罪は重い」と考えるべきである。であるから、常習犯に対する処遇としては、保安処分・相対的不定期刑そして刑の加重のいずれかの方策が取られているが、草案は、常習累犯に対する処遇として「相対的不定期刑」を採用したのは妥当であると考える。

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    今度の刑法改正準備草案において業務上過失致死傷罪の刑が加重されたり、新設される常習累犯の規定により絶対的不定期刑の制度が登場することになるように、犯罪の増加・累犯化に対して単に刑罰の面においてのみ解決を与えようとし、それらの現象の真の原因に対しては何の改善策をも講じようとしない方向性が批判されなければならない、という声もある。
    しかし、原点に返って、「社会秩序維持」こそ法律の目的とすれば、一度の重罪と累犯としての微罪とは同罪でなければならない。換言すれば、先に述べた正規分布における「大きさ×頻度=一定」を導入し、「犯した罪の大きさ×実行回数」によって罪刑を決定すべきである。
     具体的に言えば、立ち小便、チューインガムのぽい捨て、人前の喫煙等の微罪行為も、度重なれば刑罰の対象とすべきものである。現に、軽犯罪法では、「他人に不快感をもたらす行為」は禁止されている。とはいえ、たまたまトイレの無い所で尿意を催した者等についてまで、すべて罰則を適用すべきではないだろう。
     すなわち、自身の行為に対して「好ましくない」と自覚し、再発を自ら防ごうとしているかぎりは、「犯罪行為」と断定するのは酷である...

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