社会経済システムの進化

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    資料紹介

    20世紀前半の国家はケインズ的福祉国家であった。この国家は (1)公共財の提供すなわち道路や上下水道など社会的インフラの整備、(2)国民の生活水準の向上、維持、(3)再分配政策すなわち公共事業による有効需要創出と完全雇用の実現、の3点を政策として実行する国家のことである。家族体制としては、男は社会、女は家庭という性別分業家族へと変わった。その頃の、資本主義はフォーディズム(大量生産・大量消費)と呼ばれ、戦後、先進諸国における大量生産大量消費型の高度成長体制のことである。

    このような、複雑さと知識の増進の5命題要素間の相互作用の多様性によって、より高い水準の知識・技能が導き出される。その中で絶えず学習の仕方を学習することにより、学習スピードが上がって専門的技術が向上し、行為中心的へと移行していく。そして結果的に労働集約産業や資本集約産業に重きを置いた生産集約的経済とは違い、ブレイン・パワーや、高付加価値をもたらす低資本投資 などのサービス活動を重視した知識集約的経済が完成する。そして、貨幣で買えるモノよりも、貨幣で買えないヒトの中にある知識や能力の方が高い価値をもつ時代になる。実際、高学歴化も進み、最近では、大学だけではなく大学院までの学位が必要だという。また、就職に第二外国語の習得を証明する資格が求められたり、MBAなどの資格が必要であるなどの限定項目を設けている場合もある。昔の日本では、士農工商といった差別があった。その後変革があり、日本は平等社会へと移り変わっていったのだが、このような知能や資格が求められることによって、新たに高学歴者―低学歴者と言った差別が大きくなるのでないかと不安を感じる。

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    (1)社会経済システムの進化と制度補完性について述べよ。 ① 制度補完性とは、非常に複雑に絡み合った完成度の高いシステムで、制度を変えようと思っても補完的なので、連鎖的にそれに関連する全部の制度を変えなければならないシステムである。そのため、最初に変えようと思ったひとつのことすら変えられないことになってしまう。1980年代以後、行政改革とか構造改革などが行われないのはそのためだ。しかしお互いが密接に絡み合っているので、ひとつのことを変えることができれば、他の総ても一挙に変わる可能性がある。  19世紀は、明治維新を見るとわかるように、鎖国を行ってきた日本が急激に変わっていく。それは、国外からの黒船という動きと国内からの変えなければという倒幕のような動きがいりまじり生んだ変革だ。 20世紀前半には、戦争があった。戦後の民主改革は国内からの日本を復興したいという強い重いと、国外からのアメリカの復興援助などが生んだ結果であろう。日本のいままでの社会変革というのは、まさにそのようにして起きてきた。 20世紀後半は、その点、変革がまったく行われていない。つまり、制度の補完性の悪い面が働いてしまっ...

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