「子供という価値−少子化時代の女性の心理」で著者の柏木恵子氏は最近の女性がどのように子どもを持つということに対して考えているのかを心理学の見解から探っている。90年代以降、少子化は社会的問題としてさまざまな議論を呼んできた。しかしそこには、少子化が出産・結婚をめぐる女性の心理の問題であるという認識が欠けている。日本では「親子は一心同体」とその絆を強調されるが、そうした考え方もいまや普遍的とは言えず、変化してきている。現在「子どもをもつ」とはどういう意味があると考えられているのか。本書は、社会問題のひとつとなっている少子化に焦点を当て、人口問題には一見無関係な女性の心理が、なぜ少子化へ影響するのか、著者自身の調査や様々なデータをもとに考察している。出産経験のある、あらゆる年代の女性に行った“産むと決めた理由”についての調査では、特に若い年代にみられる特徴的な意見として、経済的な面や趣味・仕事・夫婦関係などの〈自分の生活に関すること〉、子どもが生まれた後の〈子育てに関すること〉という二つの条件が整ったから子どもを産むことを決めた、という点が浮かび上がっている。このことは、女性が子どもを産み育てていくことが一生のうちの選択の一つであり、「自分自身のため」であると考えている、そう著者は分析する。
現在、女性の社会進出や高学歴化で子どもを持つ女性が少なくなっており、また持っていたとしても、子どもは一人という傾向がある。その原因のひとつとして教育費が高いなどの社会的でかつ外部的な理由もあるのだが、このレポートでは心理的でかつ内部的な理由を考えていく。
「子供という価値-少子化時代の女性の心理」で著者の柏木恵子氏は最近の女性がどのように子どもを持つということに対して考えているのかを心理学の見解から探っている。90年代以降、少子化は社会的問題としてさまざまな議論を呼んできた。しかしそこには、少子化が出産・結婚をめぐる女性の心理の問題であるという認識が欠けている。日本では「親子は一心同体」とその絆を強調されるが、そうした考え方もいまや普遍的とは言えず、変化してきている。現在「子どもをもつ」とはどういう意味があると考えられているのか。本書は、社会問題のひとつとなっている少子化に焦点を当て、人口問題には一見無関係な女性の心理が、なぜ少子化へ影響するのか、著者自身の調査や様々なデータをもとに考察している。出産経験のある、あらゆる年代の女性に行った“産むと決めた理由”についての調査では、特に若い年代にみられる特徴的な意見として、経済的な面や趣味・仕事・夫婦関係などの〈自分の生活に関すること〉、子どもが生まれた後の〈子育てに関すること〉という二つの条件が整ったから子どもを産むことを決めた、という点が浮かび上がっている。このことは、女性が子どもを産み...