中国はその長い歴史の中で、1978年以降から今に至るまで、社会主義市場経済という理念の下で、過去に類を見ない目覚しい経済発展を遂げてきている。1978年からの改革開放政策の実施により、中国経済は漸進的な市場化改革を通して大きな経済成長を遂げた。2003年までの25年間で、中国のGDPの年平均成長率は世界経済の年平均成長率と比べて3倍に達した。(※図?参照)また、同期間における1人当たりGDPは、中国のGDP年平均成長率が1%高まるにつれて約0.25%上昇している。この論文では主に改革開放政策以後の中国の経済発展と2001年WTO加盟を契機とした今後の中国経済のあり方について述べることにする。
改革・開放政策に転じた1978年以降の中国の経済成長率は、天安門事件による経済停滞を除けば、ほぼ順調に伸張し、高度成長期の日本やNIES諸国と比較しても、決して見劣りするものではない。いや、それ以上に順調に推移していると見るべきだろう。また、同じ計画経済から市場経済への転換を目指しているロシアや東欧諸国の低迷や混乱とは、全くの好対照をなしている。1993年以降、中国は高いインフレに見舞われたが、その夏に実施された金融引き締めが功を奏し、景気の過熱は徐々に解消され、ソフトランディングが達成された。1997年は経済成長率が8.8%と潜在成長率に見合う水準に減速しながら、インフレ率は3%にとどまった。景気変動の幅も政治の安定と制度改革の進展により少しずつ減少している対外関係では、1997年の直接投資受入額が453億ドルに上っており、史上最高の水準に達した。資金の流入を受けて、外貨準備高が初めて1400億ドルに達し、これは日本に次いで世界第2位となっている。また、為替制度改革の総仕上げとして、1996年12月に経常取引に関する人民元の交換性の保証を義務づけるIMF八条国へ移行した。
中国の経済発展と今後の展望
中国はその長い歴史の中で、1978年以降から今に至るまで、社会主義市場経済という理念の下で、過去に類を見ない目覚しい経済発展を遂げてきている。1978年からの改革開放政策の実施により、中国経済は漸進的な市場化改革を通して大きな経済成長を遂げた。2003年までの25年間で、中国のGDPの年平均成長率は世界経済の年平均成長率と比べて3倍に達した。(※図Ⅰ参照)また、同期間における1人当たりGDPは、中国のGDP年平均成長率が1%高まるにつれて約0.25%上昇している。この論文では主に改革開放政策以後の中国の経済発展と2001年WTO加盟を契機とした今後の中国経済のあり方について述べることにする。
改革・開放政策に転じた1978年以降の中国の経済成長率は、天安門事件による経済停滞を除けば、ほぼ順調に伸張し、高度成長期の日本やNIES諸国と比較しても、決して見劣りするものではない。いや、それ以上に順調に推移していると見るべきだろう。また、同じ計画経済から市場経済への転換を目指しているロシアや東欧諸国の低迷や混乱とは、全くの好対照をなしている。1993年以降、中国は高...