社会教育と学校教育はどのように違うのだろう。なぜ国家は学校教育のみにとどまらず社会教育という概念を造ったのだろうか。日本の「社会教育」に相当する概念として、諸外国では「成人教育(adult education 米、英)」、「民衆教育(Volksbildung 独、education populair 仏)」、「継続教育(further education 英)」、そしてユネスコの提唱する「生涯教育(Lifelong Education)」がある。社会教育とは各国特有のもので各々が教育という営みをどのように考えるかによって発展の仕方が違ってきた。それは歴史とも密接な関係があり、一種の文化とも言えよう。それでは、我が国の社会教育はどのような発展を見せてきたのだろう。
まず、日本の社会教育体制は戦争の終焉を境にだいぶ異なっている。戦前は政府による国民教化であったものが、戦後は国民が自ら考え学習しようと思うようになった。学校教育は大人にとって義務であり、子供にとっては権利である。現代の学校はしっかりとしたカリキュラムが組まれ、さらには期間まで決められている。これは国民に対しとても親切なように見えるが、見方を変えれば「強制」と捉えることもできる。もちろん国民は必要最低限の知識は持っていなければならない。しかし、社会教育とはそういったものではない。社会教育で大切なことは「いつでも、どこでも、誰とでも、なんでも、自由に、無料で」学習ができることである。国民は誰でも学ぶ権利を持っていて、行政や自治体はその要求に応える必要がある。
現在の社会教育の基盤となっているものに戦後提唱された3つのテーゼがある。これらは日本国民が生み出した輝かしいものとして今でも受け継がれ、真の社会教育を実現させる上での大きな指標となっている。
「社会教育とは何か」
社会教育と学校教育はどのように違うのだろう。なぜ国家は学校教育のみにとどまらず社会教育という概念を造ったのだろうか。日本の「社会教育」に相当する概念として、諸外国では「成人教育(adult education 米、英)」、「民衆教育(Volksbildung 独、education populair 仏)」、「継続教育(further education 英)」、そしてユネスコの提唱する「生涯教育(Lifelong Education)」がある。社会教育とは各国特有のもので各々が教育という営みをどのように考えるかによって発展の仕方が違ってきた。それは歴史とも密接な関係があり、一種の文化とも言えよう。それでは、我が国の社会教育はどのような発展を見せてきたのだろう。
まず、日本の社会教育体制は戦争の終焉を境にだいぶ異なっている。戦前は政府による国民教化であったものが、戦後は国民が自ら考え学習しようと思うようになった。学校教育は大人にとって義務であり、子供にとっては権利である。現代の学校はしっかりとしたカリキュラムが組まれ、さらには期間まで決められている。これは国民に対...