資料:5件
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外国人の人権
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外国人の人権に関する判例(定住外国人地方選挙権訴訟事件判決について)
1.まず、事実の概要を述べる。本件訴訟は、永住資格を有する在日韓国人が、平成2年9月2日登録の選挙人名簿に登録されていなかったので、大阪市の4つの区の選挙管理委員会に対し、選挙人名簿に登録するよう異議申立てをしたところ、それが却下されたために、右却下処分の取消しを求める訴えを提起したものである。
2.本件判決で問題となったのは、外国人に地方公共団体における選挙権が認められるかであるが、その前提として、外国人に日本国憲法による基本的人権保障が及ぶかどうかが問題となった。
この点について本判決は、「憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである」と述べている。このことから本判決は、マクリーン事件判決と同様に外国人の人権享有主体性について肯定する立場をとり、その保障の範囲については、いわゆる性質説をとっていることがうかがわれる。
日本国憲法は、人権を前国家的なものとする自然権思想にもとづいて制定されており、この思想に基づき人権は人であるがゆえに内・外国人の区別によらず保障されるべきである。また、憲法は前文および98条2項において国際協調主義の建前を採用しており、国際人権規約等にみられるように人権の国際化の傾向が顕著である現在においては、外国人に対してもできるだけ人権の保障を及ぼすのが妥当である。
そして、いかなる範囲の人権が外国人にも保障されるかは、権利の性質上国民にのみ認められるべきものは別として、権利の性質が許す限り外国人にも保障され、どこまで保障されるかは個別の人権ごとに検討すべきものと解する。基本的人権は、自然権として、あるいは人間の尊厳を確保するために個人としての人間に与えられているものではあるが、権利の性質上、外国人に保障するのに適さないものや、日本国民と全く同程度の保障が及ぶとするのが妥当でない場合も存在する。かといって、憲法第3章の法文上に用いられている「何人も」という文言と「国民」という文言によって判別し、憲法の人権規定に「何人も」とある権利は外国人にも保障されると解することは、22条2項が日本の国籍を有しない外国人に日本の国籍を離脱する自由を保障していることになってしまう背理を生じさせ、矛盾である。22条2項のように、わが国の憲法は、そもそも「国民は」と「何人も」という文言を厳密には区別して用いてはいないのであるから、人権の性質に応じて個別に検討することが妥当であると解する。
3.では、外国人に参政権が認められるであろうか。この点につき本件判決は、「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である」としたうえで、「地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、そ
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外国人の人権保障
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1. 日本は近代立憲主義であり、憲法というルールにより国家権力を制限し、国民の自由を保障しており、その人権保障にあてはまるべき国民とは、国際法により定められている(憲法10条)。
人権保障が考えられた時点では、外国人の存在を想定していなかったが、国際化社会となった現代では、日本国籍を持たない外国人が、国内に多数定住している。その、国内に在留する外国人に対して、「外国人は、国民ではないから、憲法の人権規定にあてはまらない。」という考え方は、正しいのかどうか、外国人の人権保障が問題となってくるのである。
2. 外国人の人権保障については、3通りの考え方がある。
(1) 全面否定説
近代立憲主義の考え方どおり、外国人は人権規定にあてはまらないとしている。この説には、「基本的人権の本質から外れる」という批判もあり、憲法が国際協調主義に立っていることからも妥当とはいえない。
(2) 全面肯定説
人間の普遍性から考えて、外国人の人権は無条件に肯定されるべきである。しかし、近代立憲主義をとっている以上、全てを肯定するには無理があり、また、人権の内容等が様々であることを無視しているものであるからこの説をとることもできない。
(3) 一部肯定説
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外国人の人権享有主体性
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様々な価値観が錯綜する現代社会のなかで、人間が「共生」するための法秩序を構想するのに、「人権」が大きく関わるということが最も顕著にあらわれるのは「外国人の人権享有主体性」をいかに解するかという点であろう。
外国人とは日本に在住する日本国籍を有しない者であるが、異質な価値観、世界観をもつ個人としては典型的な例である。
外国人の「人権」が日本社会の中で憲法上どの程度認められるかということを考えることで、「人権」が有する意味と役割を明確にすることができると考える。
以降では、人権の観念とその内容を整理した上で、具体的に上記の問題を検討していく。
1、人権の観念とその内容
1−A、日本国憲法において基本的人権は「人間の尊厳」性に由来する自然権として保障されており、その特徴として人権の固有性・不可侵性・普遍性が挙げられる(憲法11条・91条参照)。
人権は人間であることによって当然に有する権利であり、原則として公権力によって侵されず、人種や性や身分などの区別に関係なく、すべて享有できる権利であるということができる。
1−B、次に人権を分類すると、自由権・参政権・社会権ということになる。
自由権とは個人の自由な意思決定と活動に対する国家権力による介入を排除する人権である。また、参政権とは国民の国政に参加する権利である。そして社会権とは社会的、経済的弱者が国家に積極的な配慮を求めることができる権利である。
以上のことが主に人権において重要な概念である。これらを基に、「外国人の人権享有主体性」における問題点を見ていく。
2、外国人の「人権享有主体性」
2−A、最も根本的な問題は外国人に人権の保障が及ぶかということである。憲法第3章の表題が「国民の」となっていることから問題となる。
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