公務員も「勤労者」であるから,原則的には公務員も労働基本権(憲法28条)を有する。論ずる前にまず『特別権力関係』について述べておこう。そもそもそれは、法律の規定・本人の同意によって、公権力と私人との間に成立する関係のことである。すべての国民に関係はしなく、一般国民とは違う関係にあるのだが、国と公務員との間には、?法律の根拠なく私人を包括的に支配や人権を制限でき、?この関係における公権力の行使は司法審査に服さないという??の意味での特別権力関係が妥当するか。この二つは法の支配、人権の尊重から問題ありとされている。今日の憲法下では、上記の特別権力関係論は、そのまま適用することが出来ない。しかし特別な法律関係の下では、『目的に照らし必要かつ合理的な範囲内でのみ』人権の制約はなされる。『よど号事件』などがやむおえない判例として知られている。
次に公務員の労働基本権の制限を見ていくと、まず労働基本権の限界として『公共の福祉』による制約などがある。それプラスアルファで、全公務員は争議行為を禁止している。公務員の種類によって制限が変わってしまうが、警察職員・消防職員・自衛隊員・海上保安庁,または監獄に勤労する職員は,労働三権がすべて制限されている。また,非現業の一般公務員は,団体交渉権と争議権が制限されている。そして,郵便などの現業公務員は,争議権が制限されている。公務員も「労働者」(憲法28条)であるから,公務員の労働基本権も保障されるのが原則であるが,このような特別制約は許されるのだろうか。公務員の職務の公共性から,その職務の停滞が国民生活に重大な影響を及ぼすため,労働基本権の制約が許容される場合があると解すべきである。しかしながら,公務員の職務の性質は多様であり,基本権の制約はその職務の性質・違いなどを勘案して,必要最低限の制約の範囲にとどまらなければならない。
公務員も「勤労者」であるから,原則的には公務員も労働基本権(憲法28条)を有する。論ずる前にまず『特別権力関係』について述べておこう。そもそもそれは、法律の規定・本人の同意によって、公権力と私人との間に成立する関係のことである。すべての国民に関係はしなく、一般国民とは違う関係にあるのだが、国と公務員との間には、①法律の根拠なく私人を包括的に支配や人権を制限でき、②この関係における公権力の行使は司法審査に服さないという①②の意味での特別権力関係が妥当するか。この二つは法の支配、人権の尊重から問題ありとされている。今日の憲法下では、上記の特別権力関係論は、そのまま適用することが出来ない。しかし特...
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