取締役の責任

閲覧数2,068
ダウンロード数8
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

    Q大蔵省の意向通り、米国当局に通知しなかったのは、取締役の義務違反か。
     大和銀行に対する株主代表訴訟は、大和銀行NY支店の社員が不正な株取引をしていたことを大和銀行の取締役が30日以内にアメリカ当局に報告しなかった結果として多大な損害を会社に生じさせたことについて、取締役が義務違反によってその責任を負うのか、または「経営判断の原則」によって免責されるのかという問題がある。取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負っている。この経営判断のミスはこれらの義務違反となるのだろうか。
     まず、取締役と会社との関係は委任関係であり(254条3項)、受任者である取締役は、善良なる管理者としての注意義務を負い(644条)、業務執行にあたらなければならない。また、取締役は法令や定款、株主総会決議を遵守し、会社のために忠実にその職務を遂行する義務をも負う(254条ノ3)。これら取締役が負う義務を各々「善管注意義務」、「忠実義務」という。
     ただし、取締役の義務違反行為の全てに責任が問われるわけではない。取締役の行為全てに責任を負わせることは、企業活動の停滞や斬新な経営方法等が行われなくなるなどの弊害を招くこととなる。その防止を目的として「経営判断の原則」がある。経営判断の原則とは、取締役が任務を尽くし、誠実で且つ合理的な経営判断をしたにも拘らず、結果として会社に損害が発生してしまったような場合には、資本主義経済にはつきもののリスクを考慮して、責任を問わないとする原則である。このような場合には、取締役は当該行為の結果について責任を免れる。Q大蔵省の意向通り、米国当局に通知しなかったのは、取締役の義務違反か。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    Q大蔵省の意向通り、米国当局に通知しなかったのは、取締役の義務違反か。
     大和銀行に対する株主代表訴訟は、大和銀行NY支店の社員が不正な株取引をしていたことを大和銀行の取締役が30日以内にアメリカ当局に報告しなかった結果として多大な損害を会社に生じさせたことについて、取締役が義務違反によってその責任を負うのか、または「経営判断の原則」によって免責されるのかという問題がある。取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負っている。この経営判断のミスはこれらの義務違反となるのだろうか。
     まず、取締役と会社との関係は委任関係であり(254条3項)、受任者である取締役は、善良なる管理者としての注意義務を負い(644条)、業務執行にあたらなければならない。また、取締役は法令や定款、株主総会決議を遵守し、会社のために忠実にその職務を遂行する義務をも負う(254条ノ3)。これら取締役が負う義務を各々「善管注意義務」、「忠実義務」という。
     ただし、取締役の義務違反行為の全てに責任が問われるわけではない。取締役の行為全てに責任を負わせることは、企業活動の停滞や斬新な経営方法等が行われなくなるなどの弊...

    コメント0件

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。