談合やカルテルなどの不正を防止するために、不当に得た利益を支払わせるのが課徴金である。違反対象となった商品のカルテル期間中の売上高に一定の算定率をかけて計算する仕組みとなっており、製造業の場合、その算定率は、大企業が6 % 、中小企業が3 % だったが、それぞれ1 0 % 、4 % に引き上げた。違反行為を早くやめた場合は2 割軽減する半面、繰り返し違反した場合には5 割加算することにした。
課徴金減免制度は、違反行為を申し出た事業者3 社については、課徴金を軽減する仕組みである。公取委が立ち入り検査に入る前に申し出た場合は、最初の会社を課徴金ゼロとし、2 番目は50 % 、3 番目は3 0 %とそれぞれ減額する恩典である。いわゆる“自首”をした事業者の罪を軽くすることによって、違反行為の摘発や証拠集めがしやすくなることの意も含まれていると思われる。既にこの制度は欧米では導入されており、課徴金減免制度によって国際カルテルの摘発が増えている実績もある。
これまでは、公取委に対しては行政調査のみを実施することができる機関としての位置づけであったが、積極的に刑事告発を可能とするために公取委に調査権限を持たせることにした。これは、裁判所の令状があれば、違反事件に関係する疑いがある企業の捜索や物件差し押さえができることにもなり、証拠収集に関する強化を目的としており、今後の活
動範囲において大きく寄与する権限と思われる。
■独占禁止法改正とそれによって生じうる法的諸問題について論ぜよ。
本レポートでは、平成17年4月20日、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律(独占禁止法)の一部を改正する法律」によって成立した独占禁止法改正について、生
じうる法的諸問題を論じたものである。
はじめに、改正の柱となっている、課徴金算定率の見直し、課徴金減免制度の導入、犯則
調査権限の導入、審判手続き等の見直し―の4点について概観する。
談合やカルテルなどの不正を防止するために、不当に得た利益を支払わせるのが課徴金
である。違反対象となった商品のカルテル期間中の売上高に一定の算定率をかけて計算す
る仕組みとなっており、製造業の場合、その算定率は、大企業が6%、中小企業が3%だ
ったが、それぞれ10%、4%に引き上げた。違反行為を早くやめた場合は2割軽減する
半面、繰り返し違反した場合には5割加算することにした。
課徴金減免制度は、違反行為を申し出た事業者3社については、課徴金を軽減する仕組
みである。公取委が立ち入り検査に入る前に申し出た場合は、最初の会社を課徴金ゼロと
し、2番目は50%、3番目は30...