プラトンの思想における二世界性について述べよ。

閲覧数12,659
ダウンロード数29
履歴確認

    • ページ数 : 3ページ
    • 会員550円 | 非会員660円

    資料紹介

     プラトンは、ソクラテスを通じて、知と徳の一致、真理愛などを説いたが、かれの根本思想の一つは、自然と人間社会を統一的に説明するイデア論である。プラトンはイデア論をポリスのあり方にも適用し、「哲人国家論」を展開した。人間のなかでとくに善のイデアを知り、正義にもとづいてポリスを統合できるのは、ソフィアの徳にすぐれた哲人だけであるとした。尊敬する師ソクラテスを死刑に追いやったのは、貴族(アリストス)に対する平民(デモス)の支配を意味した民主制(デモクラツィア)が、普通の市民を支配者にして、ポリスの正義を破壊したためだというのである。
     このことに落胆していたプラトンは、著書『国家』のなかで、理想国家の姿を描いた。それによれば、国家や人類一般の悪を根絶するためには、哲学者が君主になるか、あるいは現在の支配者が本当の意味の哲学をなして、政治と哲学とを結合させなければならない。
     その国家の最大の使命は、善のイデアを実現することにあり、個人はその国家目的にまったく適応しなければならないと説いているのである。
     例えば、我々が見たり書いたりできる三角形は、実は皆不完全なものである。完全な三角形を知らないのに、なぜ我々はそれが三角形だとわかるのであろうか。プラトンによれば、かつて人間の魂はものの完全な原型、すなわちイデアからなる「善のイデア」を最高とするイデアの世界に住んでいた。肉体が生活する地上界は、イデア界の粗悪な模造の寄せ集めで、そのイデアの不完全な影にすぎないのである。しかし、もとのイデアを知っている人間の魂は、その不完全な影からでもたとえば三角形だとわかるのだとプラトンは説明している。つまり我々が住んでいる世界が現象界であり、この世界は不完全な法と道徳があり、美醜の存在する世界としたのだ。つまり現象界とイデア界の二つの世界の関係が二世界性である。

    資料の原本内容 ( この資料を購入すると、テキストデータがみえます。 )

    プラトンの思想における二世界性について述べよ。
    プラトンは、ソクラテスを通じて、知と徳の一致、真理愛などを説いたが、かれの根本思想の一つは、自然と人間社会を統一的に説明するイデア論である。プラトンはイデア論をポリスのあり方にも適用し、「哲人国家論」を展開した。人間のなかでとくに善のイデアを知り、正義にもとづいてポリスを統合できるのは、ソフィアの徳にすぐれた哲人だけであるとした。尊敬する師ソクラテスを死刑に追いやったのは、貴族(アリストス)に対する平民(デモス)の支配を意味した民主制(デモクラツィア)が、普通の市民を支配者にして、ポリスの正義を破壊したためだというのである。
    このことに落胆していたプラトンは、著書『国家』のなかで、理想国家の姿を描いた。それによれば、国家や人類一般の悪を根絶するためには、哲学者が君主になるか、あるいは現在の支配者が本当の意味の哲学をなして、政治と哲学とを結合させなければならない。
    その国家の最大の使命は、善のイデアを実現することにあり、個人はその国家目的にまったく適応しなければならないと説いているのである。
    例えば、我々が見たり書いたりできる三角形は、実は...

    コメント1件

    komitusan 購入
    参考になりました
    2007/01/18 1:08 (17年11ヶ月前)

    コメント追加

    コメントを書込むには会員登録するか、すでに会員の方はログインしてください。