日本の旅行業の定義を記述した上、旅行商品の特性と、サービス商品である旅行商品と物流商品を比較することにする。これは、商品特性によってSCM(Supply Chain Management、以下SCM)が異なり、他産業と旅行業のSCMも商品特性による差異が生じると考えるためである。
また、情報技術の進化における、日本の旅行業における予約システムの変化を中心的に述べることにする。旅行業は他業界より早く情報システムを開発、運営している。その情報システムとは予約システム、CRS、GDSとして各旅行会社のネットワークの中で成長し、重要なポジションに位置している。その旅行会社の予約システムの発生と発展過程を述べよう。
1.旅行業に関する基礎的考察
(1)旅行業の定義
佐藤(1997) は旅行業とは、旅行者と旅行を可能にする諸サービスの提供者との間にあって、報酬を得て両者を結び付ける機能を果たす事業と定義している。
(2)旅行商品の特徴
「旅行商品」に関して佐藤(1998) は、「広義には、旅行業品は旅行業者が取り扱う商品全体をさすが、交通機関の座席、宿泊施設の客室、テーマパークなどを利用するための入場券に代表される「代理販売商品」と旅行業者が企画して交通・宿泊、観光などをあらかじめ組み合わせた「企画旅行商品」とに大別される。協議の旅行商品は、この中の「企画旅行商品」をさしている」。
本論文では主に狭義の旅行商品の「企画旅行商品」を取り扱うことにするが「代理販売商品」も「旅行素材」として取り扱う。「代理販売商品」は旅行商品としていえるか「流通」としていえるかの疑問があるが、旅行会社の取扱いの中でこの「代理販売商品」のシェアが大きいし、本研究で取り扱っているオンライン旅行サイトの取扱いの大部分が「代理販売商品」であることを考えると、ただ「流通」として片付けるものではないと考えるからである。
ITの進化と旅行業
日本の旅行業の定義を記述した上、旅行商品の特性と、サービス商品である旅行商品と物流商品を比較することにする。これは、商品特性によってSCM(Supply Chain Management、以下SCM)が異なり、他産業と旅行業のSCMも商品特性による差異が生じると考えるためである。
また、情報技術の進化における、日本の旅行業における予約システムの変化を中心的に述べることにする。旅行業は他業界より早く情報システムを開発、運営している。その情報システムとは予約システム、CRS、GDSとして各旅行会社のネットワークの中で成長し、重要なポジションに位置している。その旅行会社の予約システムの発生と発展過程を述べよう。
1.旅行業に関する基礎的考察
(1)旅行業の定義
佐藤(1997) は旅行業とは、旅行者と旅行を可能にする諸サービスの提供者との間にあって、報酬を得て両者を結び付ける機能を果たす事業と定義している。
旅行業法によれば、旅行業は表2-1のように定められている。
表2-1旅行業法にみる旅行業の分類 種別 名称 業務範囲・内容 ...