これまでの8年間、ファンとしてこのシーンを見続けてきた。そこで感じたものは音楽ジャンルの裾野が広がったと同時に全体的にオリジナリティが薄いバンドが増えてきたと思う。バンド名を聞いただけでそのファッションや音楽が強烈に思い出されるよりも先に「オサレ系」「コテ・サレ系」「コテヴィ」などの細分化されたカテゴリーに分類されることが多くなったからだ。
90年代までのバンドは音楽的センスからも誰にもないオリジナリティで「ヴィジュアル・ロック」としてしかカテゴライズし難いものが多かった。「どんな音楽?」と聞かれて答えに困るものが多かったのだ。ところが今ではほとんどが「ポップ」である。
もっと個性的で刺激的なバンドが出てくることを期待しつつ、これから新人発掘の仕事に関わる上で、ヴィジュアル・ロックのみならず、様々なジャンルでそのようなバンドを見つけていきたいと思う。
ここまでを書き終えた後でショッキングな出来事があったので追加する。
2004年12月26日NKホールで行われたイベントにおいて、あるバンドがイラクでの日本人殺害映像を流すという事件が起こった。このイベントは複数のインディーズバンドが出演する、いわゆる対バン形式をとっており、約4500人を動員していた言われている。
ライブにおいて映像を流すということは特別なことではない。ただ、その映像にきちんと責任を持たなくてはならない。今回の件では倫理的、人道的に明らかな過ちを犯している。政治的なメッセージを伝えたかったのかもしれないが、その手法を間違えている。そもそもリハーサルの段階では別の映像を使っていたというところに意図的なものが感じられる。犯してもいいタブーと犯してはならないタブーの判断ができていないということだろうか。
対バンであったので、彼らのファンではない人も大勢いた。本来ならば新規のファンを獲得するチャンスであるのに、見たくもない映像を一方的に押し付け、バンドの存続をも危ぶまれる状況になってしまった。
はじめに
90年代後半に邦楽シーンで人気を集めた「ヴィジュアル系」ロックバンドについて、ブームが過ぎた現在、その影響や文化的側面が様々な角度から研究されている。しかし、彼らが活動の中心とし、最も大切にしているライブからの記述はこれまでされていない。
彼らバンドマンにとってのライブとは?またファンにとってのライブとは?に焦点をあて、ライブを通してヴィジュアル・ロックシーンを見ていきたい。
第一章 ヴィジュアル・ロックというカテゴリー
何をもてヴィジュアル・ロックバンドと定義するかについては様々な説がある。ファンの間でも薄いメイクのバンドはヴィジュアル・ロックか否かという議論が頻繁に行われている。それは、ヴィジュアル・ロックとは決して音楽性で区別されたジャンルではないということからそのような議論になるのだ。
80年代のLAメタル、ハードロックをルーツとしているものや、パンクやミクスチャー、テクノに傾倒しているもの、あるいは昭和歌謡曲を目指しているものなど。その音楽性は非常に幅が広い。
ここでは①「SHOXX」「Vicious」「Zy」「Cure」などヴィジュアル・ロック専門誌に掲載されて...
客観的に分析している部分よりも
自分のことを紹介しているだけのように感じられる部分も多く
もう少し普通の人の目線に立って、すこし書いてみてほしかったです。