本書は、エリートの子はエリートになるのかをSSM調査による統計的データを基にして、戦後の日本の階層がどのように変わってきたのかを学歴、社会に出てからの序列などという面から示している。そしてその中で、成りあがれるなら成り上がりたいという大衆の望みのために今までうやむやにされていた、努力をすることが階層を変えることにつながるのかという根本的な問題についての著者の考えが書かれている。
私が本書の良い点を挙げるとしたら、思いつくのはまず導入部分である。序章の、『お嬢さま』かどうかは生まれた病院からわかるという考えを私はまったく知らなかったので、非常に興味をそそられた。
「不平等社会日本-さよなら総中流-」 書評
本書は、エリートの子はエリートになるのかをSSM調査による統計的データを基にして、戦後の日本の階層がどのように変わってきたのかを学歴、社会に出てからの序列などという面から示している。そしてその中で、成りあがれるなら成り上がりたいという大衆の望みのために今までうやむやにされていた、努力をすることが階層を変えることにつながるのかという根本的な問題についての著者の考えが書かれている。
私が本書の良い点を挙げるとしたら、思いつくのはまず導入部分である。序章の、『お嬢さま』かどうかは生まれた病院からわかるという考えを私はまったく知らなかったので、非常に興味をそそられた。成金ではなく親の代からの本来のお金持ちこそ本当の『お嬢さま』であるとういう考えを紹介することで、次の章からのエリートの再生産へのわかりやすいステップになっている。また本書のメリットとして挙げることができるのかはわからないが、授業の内容と照らし合わせることで、よりわかりやすい説明が多い。たとえば、エリートの子がエリートかそうでな...