新聞のこれから

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1.はじめに
 わが国では、94%という世界屈指の新聞配達率を誇っている。しかし、現在、その新聞界に危機が訪れ、変わらなければ生き残って行けない時代が来た。本論文では、新聞の現状を述べ、再販制度をめぐる公正取引委員会との攻防の経緯を整理した上で、新聞や他メディアの問題点を示し、新聞がこれからどうすれば生き残っていけるか意見を述べたい。
2.本文
●●新聞の現状
 日本の新聞配達率は94%と世界屈指である。アメリカの配達率は70%だといわれているが、同じ地域で選択できる新聞はごく限られた種類だけだ。地元紙と全国紙をあわせて全国ほとんどの地域で5紙以上が宅配可能と言う制度は世界的にも珍しい。
 しかし、その日本にもついに部数の低迷減少が起こり始めた。2002年10月現在の総発行部数は5.319万8444部(朝夕を1部として計算)前年比0.9%減で、2000年から3年連続である。
 新聞広告は新たなメディアの出現によってシェアを侵食され、相対的なウエートを低下させていった。その象徴的な事例は、1975年に広告シェアトップの座をテレビに奪われたことだが、それ以降も新聞競走優位は競争優位を失いつつある。総広告費でいえば、マスコミ4媒体、テレビ、雑誌、セールス・プロモーション、衛星関連、インターネットは伸びているにも関わらず、新聞とラジオだけが低迷から抜け出せなかった。それだけでなく他メディア増加分のほとんどが新聞広告の減少分に相当する結果になった。現在のメディア多様化の環境下で、新聞は広告媒体としての存在が薄れている。広告収入が減っていくことは、直接的に新聞の存続の危機に近づくということだ。
 その原因として、若者の新聞離れが挙げられる。新聞協会の調査では、30代以前の世代と40代以降の世代との間に、「必要度」「信頼度」「愛着度」「親近度」の4つの項目で明確な評価の差があった(2003年「新聞の評価に対する読者調査」)30代以前において評価は低く、40代以降において高いという結果がでた。現在は若者の新聞離れとして捉えられているが、この調査で分かった真の問題は、現在の30代以下の世代が40代50代となっていったときに、それよりももっと下の世代でさらに新聞離なれが進むということだ。新聞にとって、ますます厳しい未来が提示されたのだ。
●●特殊指定問題
 広告収入的な側面だけでなく、制度側面で新聞販売の根源を揺るがす大きな問題がある。公正取引委員会による特殊指定制度の見直しだ。
 独占禁止法24条は、製造業者などの売り手がその商品の販売業者に指定した価格で販売するようにさせる契約を禁止しているが、第2項で、指定の商品に対して子の原則の適用を除外している。指定の商品には「著作物」が入っていて、新聞もこの中に含まれる。これによって、新聞社が販売所に小売する価格を指定できる。これを「再販制度」という。また、再販制度の下に、特別に禁止行為も設けている。①新聞社や新聞販売書画特定の地域や読者によって異なる価格を設定したり、定価を割り引いたりすること ②新聞社が販売所に注文部数を越えて供給すること だ。これらを「特殊指定」という。
 これらの制度に支えられ、製造業者である新聞社は販売業者である販売店と指定の価格で新聞を売るようにさせる契約が結べることになる。新聞社はすべての販売店と再販売契約を結び、都市部であろうと、山間へ基地や離党であろうと全国どこでも同一商品・同一価格の体制を維持している。
 最初に、再販制度の妥当性に疑問を呈する動きが出てきたのは92年。しかし公正取引員

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1.はじめに
 わが国では、94%という世界屈指の新聞配達率を誇っている。しかし、現在、その新聞界に危機が訪れ、変わらなければ生き残って行けない時代が来た。本論文では、新聞の現状を述べ、再販制度をめぐる公正取引委員会との攻防の経緯を整理した上で、新聞や他メディアの問題点を示し、新聞がこれからどうすれば生き残っていけるか意見を述べたい。
2.本文
●●新聞の現状
 日本の新聞配達率は94%と世界屈指である。アメリカの配達率は70%だといわれているが、同じ地域で選択できる新聞はごく限られた種類だけだ。地元紙と全国紙をあわせて全国ほとんどの地域で5紙以上が宅配可能と言う制度は世界的にも珍しい。
 しかし、その日本にもついに部数の低迷減少が起こり始めた。2002年10月現在の総発行部数は5.319万8444部(朝夕を1部として計算)前年比0.9%減で、2000年から3年連続である。
 新聞広告は新たなメディアの出現によってシェアを侵食され、相対的なウエートを低下させていった。その象徴的な事例は、1975年に広告シェアトップの座をテレビに奪われたことだが、それ以降も新聞競走優位は競争優位を失いつ...

コメント1件

aiai 購入
今の新聞の実情そしてこれからがかかれています。
2007/02/22 10:09 (18年前)

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