糖尿病について述べよ。
⑴日本人の食生活の変化
①戦前;明治維新以降、近代化政策は、衣食住においていろいろな変化を与え、徐々に和洋折衷のライフ・スタイルが定着し始めた。健康と栄養についても大きな影響を及ぼし、非常に大きな変化が起こったのは第二次世界大戦の終結を境にしてみられている。戦前は、炭水化物を中心とした、高糖質・低タンパク質・低脂肪型の低栄養であり、過酷な肉体労働は栄養状態をさらに悪化させる要因となり、その結果、戦前は肺炎、気管支炎、下痢腸炎、全結核などによる死亡率が多かった。
②戦後;食生活の欧米化が進み、動物性食品(肉類・牛乳・乳製品などの)摂取量の増加と穀類(特にコメ)と植物繊維(野菜)の消費量の減少によって特徴付けられる。脂肪比率は25%強で欧米諸国よりは低いが、繊維量から判断して野菜量はここ50年ではほぼ半減している。この植物繊維が少なければ、年々上昇する脂肪の増加に対して脂肪を吸収させず、排泄する働きがうまく働かない一方、タンパク質やミネラル、ビタミンが不足するといったことも生じかねない。
⑵糖尿病
①原因;この様に、近年特定栄養素を過剰に摂取するような食生活と共に加齢、家族歴、肥満、身体的活動の低下(運動不足)より、糖尿病患者数は急速に増加している。これ以外にも高血圧や高脂血症も独立した危険因子であるとされている。
②糖尿病の病型
⒜1型糖尿病;生活習慣病でない糖尿病で、インスリンが全く分泌されていないものを言う。
⒝2型糖尿;肥満などが引き金でインスリンの分泌が少なかったり、働きが悪くなる生活習慣病の一種。日本人の糖尿病の99%はこの2型糖尿病である。これまでは中高年に多く発病してきたが、最近は若年化が進んでいる。
⒞その他、⒟妊娠糖尿病に大別出来る。
⒠発病後;
先に述べた様に糖尿病の発症要因としては、遺伝的要因と環境要因があり重要であるが、特に2型では生活習慣が環境因子として重要である。
加齢と家族歴は改善(介入)不可能であるが、変更可能な危険因子としては、肥満、食事(摂取カロリーとその内容)、運動量の不足などがあげられる。
糖尿病は、ひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、末期には失明し透析治療が必要となることがある。さらに、糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進することも知られている。これらの合併症は、患者のQOLを著しく低下させるのみでなく、医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、今後も社会の高齢化にしたがって増加するものと考えられる。
1998年に行われた日本透析医学会の調査によると、1998年の一年間で新規に透析導入となった患者のうち、35,7%は糖尿病性腎症が原因であり、1983年の二倍以上に増加している。また糖尿病性網膜症により、年に約3000人が視覚障害となっている。
⑶今後の対策
①一次対策
⒜一般国民を対象とする集団
糖尿病の一時予防は対象者が多いことからも、ライフ・スタイルを望ましい方向によっておこなわれるべきである。肥満者(過体重者)へは、「減量」、全国民へは「身体的活動の増加」また、学童期から食生活に関する正しい習慣をつけるべきである。
⒝児童期;食生活の習慣が舌に刷り込まれるプリンテイングが行われるという意味で、非常に重要である。しかし、今の子ども達は食生活が乱れ、食物繊維や穀類の摂取の量が減る一方で、脂肪と動物性タンパク質が多い欧米食が増えている。成長期には栄養の必要量が増大で高脂肪食になるが、一昔前の成人
糖尿病について述べよ。
⑴日本人の食生活の変化
①戦前;明治維新以降、近代化政策は、衣食住においていろいろな変化を与え、徐々に和洋折衷のライフ・スタイルが定着し始めた。健康と栄養についても大きな影響を及ぼし、非常に大きな変化が起こったのは第二次世界大戦の終結を境にしてみられている。戦前は、炭水化物を中心とした、高糖質・低タンパク質・低脂肪型の低栄養であり、過酷な肉体労働は栄養状態をさらに悪化させる要因となり、その結果、戦前は肺炎、気管支炎、下痢腸炎、全結核などによる死亡率が多かった。
②戦後;食生活の欧米化が進み、動物性食品(肉類・牛乳・乳製品などの)摂取量の増加と穀類(特にコメ)と植物繊維(野菜)の消費量の減少によって特徴付けられる。脂肪比率は25%強で欧米諸国よりは低いが、繊維量から判断して野菜量はここ50年ではほぼ半減している。この植物繊維が少なければ、年々上昇する脂肪の増加に対して脂肪を吸収させず、排泄する働きがうまく働かない一方、タンパク質やミネラル、ビタミンが不足するといったことも生じかねない。
⑵糖尿病
①原因;この様に、近年特定栄養素を過剰に摂取するような食生活と共に...