女性労働の歴史と家族制度
1、現代に影を落とす家族制度
現代社会のなかで、前近代的家族制度規範から生み出された家族制度は、無意識的に言葉や習慣として生きている。「主人」や「奥様」などの言葉に見られる。また、非摘出子という概念や男女役割分担といった形で残っている。男女の役割分担は、資本の側にとって利潤の追求のために都合がよいものである。諦めの思想は、家族制度の名残である。
家族制度のルーツは、武家社会に見ることができる。君主に仕える家父長に家族成員の生存がかかっていた。女性は、男子を産むことのみの存在価値であった。明治維新後の政府にとっては、富国強兵を推し進めるための国民掌握という点で家族...