「食環境と健康について述べよ。」
1 わが国の食生活の変化について
明治維新以降の日本は、さまざまな近代化を進めたが、それは衣食住においても同様であった。この食事の変化は、健康と栄養に大きな影響を及ぼし、第二次世界大戦の終戦を境に、欧米化に向け非常に大きな変化が起こったのは言うまでもない。戦前のわが国の食事は、炭水化物を中心とした高糖質・低タンパク質・低脂肪型の低栄養であった。そのため過酷な肉体労働によって、栄養状態をさらに悪化させる要因となり、戦前は肺炎、気管支炎、下痢腸炎、全結核などによる死亡率が多かった。
終戦直後は、極端な食料不足によって、さらなる栄養状態の悪化が見られたが、復興とともに食生活の欧米化が進み、肉類や乳製品などの動物性食品の摂取量の増加と、米を中心とする穀類、植物繊維の消費量の減少していった。脂肪比率は25%強で欧米諸国よりは低いが、野菜の摂取量は半世紀でほぼ半減している。植物繊維は、食後の血糖値の急激な上昇を防ぎ、コレステロールの吸収を抑制する。また大腸の働きを促すといわれている。摂取量が少なければ、年々上昇する脂肪の増加に対して脂肪を吸収されず、排泄する働きが...