1920年代は、革新主義と第一次大戦、大恐慌とニューディールによって前後を区切られた時代である。自動車、家電、映画のブームに代表されるように、まさに「現代」に通じる大量生産・大量消費の華やかな風潮の一方で、不自由・保守的・不寛容な空気も非常に強いという、光と陰の二面性の時代であった。
第一次大戦で当初中立だったアメリカは、ウィルソンの14ヵ条の平和原則や国際連盟の理想を掲げて、総動員体制で途中参戦した。自由の国であるにも関わらず、経済統制を行い、愛国心を鼓舞する様々な手法が取られた。しかし、ヴェルサイユ講和条約では、14ヵ条はあまり反映されず、国際連盟への参加も連邦議会で否決されてしまった。愛国心が最高潮に達した時に戦争が終わり、国民は理想に疲れ、ハーディングの「平常への復帰(Back to Normalcy)」というスローガンを熱烈に支持し、保守的ムードが高まった。
そもそもアメリカはこうした総動員体制になじまなかったこともあって、ウィルソンは即座に戦時体制を停止した。経済統制の解除と共に急激なインフレが起きた。さらに、戦時中は労働力不足のために労働者の権利が強化されていたが、資本家は再び労働組合に敵対的態度を取るようになり、労働運動が激化した。また、戦地から大量の男手が戻ってきたことで、失業問題も深刻化した。