資料:2件
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ヴェニスの商人におけるguiseとdisguise
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はじめに
1550〜1642年にロンドンで上演された芝居の7割以上が変装を用いているという。変装は作品にどのような印象を与え、どのような位置づけで使われているのか。女装男装はもちろん、シェイクスピアの多くの作品に道化が登場しているが、この道化のあり方もdisguiseとして捉える。本論ではシェイクスピアの描くguiseとdisguiseの問題について取り上げたい。
1 変装するということ
変装というのは視覚的に自分を他人と思わせることである。変装にはさまざまな種類があり、女装男装という異性装や特定のキャラクターになりきるために同じ服を着るといういわゆるコスプレ、何かの目的達成のために一番作業のしやすい格好になることなど多くの変装が存在する。シェイクスピアの作品の多くに異性装が出てくる。性別を判断することを不可能とする異性装によってどのような利益がもたらされるのか。まずそこから考えていきたい。
1-1 異性の代替
一定にまで発達した文化は、多くの場合性別ごとに異なる服装のパターンを与えている。このパターンにおいて異性のものと規定される服装を身につけることが異性装である。例えば、現代の日本ではスカートは女性に属するものとされているので、男性がこれを身につけることは女装と定義されることが多い。異性になりすますことの目的は二つあり、一つは遊びとしての仮装。もう一つが身を隠す手段としての変装だ。何らかの事情により女性(男性)を排除しなくてはならない場合、その代替を異性装をした男性(女性)が担うことがある。これは例えば、女性のみで演じられる宝塚歌劇団において、男性役を演じる役者の存在だ。では『ヴェニスの商人』における変装について論じたい。
1-2 変装の必要性
『ヴェニスの商人』では金持ちの女相続人でありバッサーニオの婚約者であるポーシャとその侍女でグラシアーノーの婚約者のネリッサが男装をし、法廷に登場する。
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