『ヴェニスの商人』は非常に有名な作品であるが、私はこの授業で取り扱うまで全く読んだことがなかった。だが読んでみると、友情の美しさ、人を信頼することのすばらしさを痛感させられる作品であることがわかった。一方で、人間の悪の部分、復讐や憎悪といった感情が非常にうまく表現されていて、人間の様々な一面を垣間見ることができた。それから、この作品の主人公は貿易商アントーニオであるが、読みすすめていくと、決してアントーニオだけが中心となった話ではないことがわかった。『ヴェニスの商人』においては、登場人物の誰もが主人公となりうるのではないかと感じることがあった。そこにこの作品のおもしろさ、奥深さが潜んでいるのだろう。
しかし、現代的な視点からこの作品を捉えようとすると、いくつかの問題点が浮かび上がってくる。主なものを挙げると、それは話全体がユダヤ人を差別視している点と、法廷での裁判のシーンでの解決法は正しかったかという点である。ユダヤ人差別という観点からみると、シャイロックが作品の至るところでひどい扱いを受けているということは明らかである。シャイロックは登場した時から罵りの言葉を投げかけられている。つまりシャイロックは最初から「悪」の存在として位置づけられているのである。
『ヴェニスの商人についての考察』
『ヴェニスの商人』は非常に有名な作品であるが、私はこの授業で取り扱うまで全く読んだことがなかった。だが読んでみると、友情の美しさ、人を信頼することのすばらしさを痛感させられる作品であることがわかった。一方で、人間の悪の部分、復讐や憎悪といった感情が非常にうまく表現されていて、人間の様々な一面を垣間見ることができた。それから、この作品の主人公は貿易商アントーニオであるが、読みすすめていくと、決してアントーニオだけが中心となった話ではないことがわかった。『ヴェニスの商人』においては、登場人物の誰もが主人公となりうるのではないかと感じることがあった。そこにこの作品のおもしろさ、奥深さが潜んでいるのだろう。
しかし、現代的な視点からこの作品を捉えようとすると、いくつかの問題点が浮かび上がってくる。主なものを挙げると、それは話全体がユダヤ人を差別視している点と、法廷での裁判のシーンでの解決法は正しかったかという点である。ユダヤ人差別という観点からみると、シャイロックが作品の至るところでひどい扱いを受けているということは明らかである。シャイロックは登場した時か...