靖国神社参拝について
靖国問題、という言葉を聞いたとき、国際問題であるという考えをされる方が多いであろう。事実、メディアで取り扱われる際の靖国問題の多くが中国、韓国などの批判とともに取り上げられる。確かに靖国問題は重要な外交問題であり、中国や韓国のいわゆる「反日」の要となるものである。しかしそれは靖国問題の一側面であって、より重視すべきことは、靖国を、そしてこれからの日本のあり方を我々日本人がどうとらえるか、という点ではないであろうか。本稿では、まず外交問題としての靖国問題を概観した後、それだけでは議論が不十分であることを確認し、より本質的な日本という国のあり方と靖国神社を結びつけて靖国問題を論じていきたいと思う。
東アジア諸国、特に中国、韓国からのいわゆる「反日」は途切れることがなく、むしろその勢いを増すかのようである。そしてその核となる問題が首相による靖国神社参拝問題である。しかし、そもそも靖国神社参拝の何が問題となっているのであろうか。今年四月一日の中国胡錦濤国家主席の「日本の指導者が『A級戦犯』をまつる靖国参拝をやめるのなら首脳会談を開く用意がいつでもある」との発言から、決して...