日本の常任理事国入りの必要性やリスクについて考察。
【 目次 】
〇 はじめに
〇 本論
・ 外務省の主張
・ 元国連職員、吉田康彦の見解
・ 元外務官僚、浅井基文の見解
・ 解釈変更
〇 結び
「常任理事国入りと憲法解釈」
はじめに
安全保障理事会(安保理)。それは国際連合(国連)の中にあって、国際の平和と維持に関して最も重要な責任を持つ機関である。常任理事国5カ国(「P5」/アメリカ・フランス・イギリス・中国・ロシア)と選挙で選ばれる非常任理事国10カ国(任期2年、連続再選不可)で構成され、議決の際は15か国中9カ国以上の賛成が必要となる。この際、常任理事国5カ国すべてが反対(拒否権行使)しないのが条件になる。なお、賛否を示したくない場合は「棄権」という選択肢もある(これは拒否権行使にはあたらない)。第二次世界大戦の「戦勝国」かつ核保有国である常任理事国のメンバーは不動であり、5カ国のうち1カ国でも拒否権を行使すれば決議案が採択されないという特権を持っている点に関して、かねてから大国に権限が集中し過ぎているなどという批判があり、安保理改革の必要性が指摘されてきた。そこで、これまでも何度か安保理改革の議論は持ち上がったが、各国の利害や思惑が複雑に交錯し、改革の実現は程遠いものと思われてきた。しかし2003年、アメリカが安保理の議決を経ずにイラク戦争へ突入したのを契機として、9...