資料:19件
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ソクラテスの幸福と政治
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「いちばん大事にしなければならないのは生きることではなくて、よく生きることだ」(『クリトン』48b)これは「よく」という言葉を「幸福に」と言い換えることができるなら、恐らく多くの人の賛成を得られる意見だろう。
しかしよく生きるといっても、何をよいとするかによってその生き方は様々である。
ある人は、よく生きるとはなるべく苦痛を被らないこと、なるべく快楽を多く享受することと考えるだろう。
そう考えるとソクラテスが関心の範囲外として退けるお金や名誉を求めることはある人にとってはよき生なのかもしれない。
また、実際生物学的な人間の意義は、単なる遺伝子存続のための箱に過ぎず、なるべく多く自らの遺伝子を後世に伝えることが人間の最大の目的とも言えるかもしれない。
そのように考えればソクラテスが一般大衆の関心事として退けた子供の養育が人生の最大の目的であり、子供の幸福こそが自分の幸福なのかもしれない。
一方ソクラテスにとっての善き生は、正しく生きることであった。もちろんソクラテスは、この生き方が善き生として全ての人の賛同を得られるわけではなく、むしろ少数派であると述べている。(『クリトン』49d)
では、ソクラテスの善き生、つまり正しく(正義に従って)生きるということはソクラテスの個人的な幸福のあり方なのだろうか。
私はソクラテスの考える正義が、本当に正しいものであればそれは万人の生にとって必要なものであると考える。
ソクラテスはクリトンのなかで、不正をすることも不正に対して仕返しをすることも正義に反するから、自分も害悪を被るとしている。確かに国法に従わず脱獄などという違法な仕方で刑を免れるということは、法に対しての不正であり、我々を生かしている国の基盤を揺るがす行為である。
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レポート
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ソクラテスとアリストテレスを比較して
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1、はじめに
諸学の礎を築いたアリストテレスと、その師、プラトンの更に師であるソクラテス。両者は「知を愛し求めた」という点においては共通しているが、その方法、内容については、多くの相違点が見られる。そこで「探求方法」、「アリストテレスのソクラテス批判」という観点を中心に、この二人の哲学を見ていきたい。
2、ソクラテスの探求法
「ソクラテス以上の賢者は一人もいない」というデルフォイの神託に納得のいかないソクラテスは、当時の賢人とされる人々に、「よく生きるということはどういうことであるか」と問い、自分よりも賢い誰かを探すことによって、これに反証しようと試みた。しかし、自分を含め、その問についてすべてを知っている者は居ないことに気づき、「自分は知らないということを自覚している点において、他の者より少しは知恵がある」と神託を解釈した。
ソクラテスの生活はこれを契機に変わったのだ、と村井氏は述べる。
彼はこの神託の教えに従って人びとに人間的智恵をすすめること、すなわちいわゆる無智の知に向かって自分の知識を吟味すること、また彼の得意な表現に従えば「魂(プシュケー)」の世話をする」こと、「自己自身の世話をする」こと、「徳(アレテー)の世話をする」こと、などへの勧告を自分の使命と感じ、「神に対する奉仕のために」一切を顧みないことを志したのである。(村井実『ソクラテスの思想と教育』1972 P63)
ソクラテスは、街に出ては人をつかまえ、「対話」し、「無知の知」を自覚させた上で「本質」を追求するべく議論をかさねたわけである。この方法は、相手が知識を生む手助けをすることから「助産術」と呼ばれる問答法だが、名前からもわかるように、当然相手は「陣痛」という苦痛を伴うことになる。ソクラテスが、自身を「アブ」にたとえたことも、相手に痛みを与えるということから来ているのだろう。
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ソクラテスの教育学的意義
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ソクラテスの産婆術は、対話を通して、相手に真の知を獲得させるというものである。真の知とは、ただの専門的知識ではなく、人間的行為を正しく導く高次の知識である「善の知識」とされる。真の知があればこそ、知行合一という言葉のとおり、人は自然と正しい行為をなすこととなるのである。その真の知に至るには、他人との研究である対話が必要であるとされ、具体的には以下のようなプロセスで構成される。
まず、第一段階として、ソクラテスは徳に関する質問を投げかける。相手が示した意見や立場についてはそのまま認め、そうした前提に基づいてさまざまな説明をさせる。そこで、矛盾点が顕在化してくるように仕向けたり、論破したりすることによって、相手の無知を自覚させるのである。ソクラテスは、無知の知という言葉からも窺い知れるように、無知を自覚することが真の知への探究の第一歩であると考えていたのである。
そして、第二段階として、混乱に陥り、真の知を求めたがる相手に対し、真の知を相手自身が生み出すようにリードするのである。混乱状態が生まれるのは、自身のそれまでの考え方が矛盾していたことによるものであり、実際には、自己を内観し、自己省
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教育
原理
体系
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桜井万里子『ソクラテスの隣人たち』を読んで
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この本は、紀元前5世紀末のギリシア、アテナイを生きたソクラテス、アゴラトス、アントギス、リュシアスの4人の生き方を個別的・具体的に追うことで、古代ギリシアにおけるアテナイ社会の実相を描き出そうとしたものである。
従来のアテナイ像は多分に紋切り型であった。大別すれば、アテナイ民主政を理想視し近代民主主義の原点として捉えるか、もしくは奴隷の存在など「古代的限界」を強調するかの2つの見方しかなかったと言えるだろう。本書のアテナイ像はそのいずれでもない。この本から浮かび上がってくるアテナイの姿は多様性と活気に満ちた、言うなれば人の息づかいが感じられる世界である。若者たちと対話をし、アテナイ民主政を批判したソクラテス。訴追を生業とし、波瀾万丈の生涯を遂げた解放奴隷アゴラトス。民主政下のアテナイで巧みに立ち回った寡頭政支持の富豪市民アントギス。「30人僭主」への復讐に燃えた富裕メトイコイの弁論作者リュシアス。それぞれに個性的な彼らを生んだ古代アテナイとはどのような社会だったのだろうか。
アテナイには「デーモシオス」と「コイオス」という2つの異なる公概念、公共空間が存在していたと著者は指摘する。デーモシオスとは政治的な公共空間のことで、参政権を持つ(男性)市民たちを成員とする空間である。これに対しコイオスとはメトイコイ、奴隷、外人、女性といった非市民をも包摂する生活空間のことである。この多重構造こそがアテナイ民主政が自由と秩序をバランスよく両立させることに成功した最大の要因であったと筆者は主張する。
アテナイ民主政は市民に多くの権利を与えると共に市民間の平等を追究した。しかしこれを実現するには市民の数を制限する必要があり、民主政の発展にともなって市民と非市民の境界を強化していった。デーモシオスの確立である。だが、市民よりはるかに数の多い非市民を疎外することはアテナイの国力の弱体化につながる。
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史学
古代ギリシア
ソクラテス
アテネ
30人僭主
仲間を売る
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ソフィストに対するソクラテスのメゾットと現在の学校教育について
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ソフィストとは、紀元前のギリシャ・アテネ市民に弁論術や処世術を教授することを職業としていた人々のことである。彼らは自分が賢者であるかのように振る舞い、裁判や議会で勝つための道理に合わない弁論や、間違った理屈を正当と思い込ませる誇示付けの論法など、自分が優位に立つための弁論術を若者に教え利益を得ていた。ソフィストにとっては何が真実であるか、そして、何が人間の人生や幸福にとって大事かは関係なかった。とにかく、博学を装い、相手を打ち負かし、自分の主張が正しいと信じ込ませることであった。ソフィストの哲学の出発点は、「知識があること」で、知識を求めることではなかった。
一方、古代ギリシャを代表する偉大な哲学者の一人であるソクラテスは、ソフィストとは対照的に、人間の生き方について問い「ただ単に生きるのではなく、よりよく生きる」ことを目的にした。そして、理性の法則(ロゴス)に従った問答法によって普遍的・客観的な真理を求めたのであった。ソクラテスは、対話を通じて相手の持つ考え方に疑問を投げかける問答法によって哲学を展開し、また、「自分自身が無知であることを知っている人間は、自分自身が無知であることを知
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いじめ
学校教育
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問題
人間
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ソクラテス的対話術(産婆術)について
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ソクラテスの産婆術をよく知る為には、まず彼の「知」の追求過程から述べる必要がある。
何故、彼が知を愛求するようになったのか、またそれがどの様にして産婆術に至る様になったのか、その答えは有名な逸話の中にある。
あるときソクラテスの友人がデルフォイ神殿を訪ね、神に問いかけた。
「ソクラテスより知恵のある者はいるか」巫女を通して答えられたその答えは、
「ソクラテスより知恵のあるものはいない」というものであった。
ソクラテスはこの神託を聞き、大変驚いて困り果てた。ソクラテスは神が出したその答えの真意を理解できず、自分より知恵のある者を探し出そうと何日も何日も歩きまわり、
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教育学
ソクラテス
産婆術
無知の知
教育学的意義
知
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ソクラテス的対話と教育学的意義
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ソクラテス的対話(産婆術)について述べ、ソクラテスの教育学的意義について考察せよ。
ソクラテスは真の知を獲得するために、他人とともに研究することが重要と考え、対話しあうことが知への道であり、またもっとも有効な教育方法でもあると考えた。ソクラテスの対話術は、一般に産婆術(助産術)と呼ばれている。すなわち、産婆が妊婦に子を産むのを手助けするのと同様に、教師の役割は学習者自身が真の知を産み出すのを手助けすることに他ならないということである。知の創造を出産にたとえて、学習者は知の生産者、教師は産婆役に位置づけられている。すべての人は生まれながら道徳的に善悪を判断する能力を有していると考え、産婆術はこ
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教育言論
ソクラテス的対話
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