1章 はじめに
現在、電磁界の人体への影響が懸念され、様々な研究が行われている。電磁界が人体に影響を及ぼすかどうかということは、医学・生物学分野の研究が不可欠である。しかし、存在する電磁界の測定・解析、体内に誘導される電界や電流の測定・解析を行うことは、医学・生物学分野を補うための工学分野の重要な研究である。
2004年4月に、労働者の電磁界曝露に関する安全衛生対策についての欧州指令が採択された。今後、国内外において職業場での磁界曝露量のデータ集積とその検討が重要になると考えられる。磁界曝露量を調査するためには、磁界の発生原理と特性、および測定器の原理と構造、校正について理解することが大切である。
本論文では、電流による磁界の発生についての諸法則、直流磁界測定に使われるホール素子および、交流磁界測定に用いられる電磁誘導の法則、測定器の校正方法と実測例について述べる。
2章 電流による磁界
2.1 磁界
磁石には2つの磁極があり、糸でつるしたとき、北を向く磁極をN極、南を向く磁極をS極とよぶ。これらの極の間には磁気力が発生し、N極とS極の間には吸引力が働き、N極とN極あるいはS極とS極の間には反発力が働く。糸でつるした磁石が南北を指すのは、地球自体が大きな磁石となっているために、地球の磁極による磁性が棒磁石を南北に向かせるものと考えられる。つまり、地球の北極には磁石のS極があり、南極にはN極があることになる。
1820年エルステッドによって、導線の近くの真下に置かれた磁針には導線に電流が流れると力が働き、導線と直角な方向に向くことが発見された。アンペアは電流の流れている導線間には吸引・反発作用があり、電流間に力が働くことを示した。このように、磁石と磁石、磁石と電流、電流と電流相互に磁気力の作用する場(空間)を磁界(磁場)という。
論文、理工学、磁界、アンペアの周回積分の法則、ビオ・サバールの法則、ホール素子、電磁誘導の法則
1章 はじめに
現在、電磁界の人体への影響が懸念され、様々な研究が行われている。電磁界が人体に影響を及ぼすかどうかということは、医学・生物学分野の研究が不可欠である。しかし、存在する電磁界の測定・解析、体内に誘導される電界や電流の測定・解析を行うことは、医学・生物学分野を補うための工学分野の重要な研究である。
2004年4月に、労働者の電磁界曝露に関する安全衛生対策についての欧州指令が採択された。今後、国内外において職業場での磁界曝露量のデータ集積とその検討が重要になると考えられる。磁界曝露量を調査するためには、磁界の発生原理と特性、および測定器の原理と構造、校正について理解することが大切である。
本論文では、電流による磁界の発生についての諸法則、直流磁界測定に使われるホール素子および、交流磁界測定に用いられる電磁誘導の法則、測定器の校正方法と実測例について述べる。
2章 電流による磁界
2.1 磁界
磁石には2つの磁極があり、糸でつるしたとき、北を向く磁極をN極、南を向く磁極をS極とよぶ。これらの極の間には磁気力が発生し、N極とS極の間には吸引力が働き、N極とN極あるいはS極とS極...