1 はじめに
政党は国内で組織的な政治主体を形成すると同時に政党それ自体がひとつの政治システムとなっている。政党内閣は戦前では慣行としてしか成立しなかったが、戦後に国会が国権の最高機関の地位を与えられ、新制度である議院内閣制が機能したことから政党は政権を構成し、もしくは倒して構成し直すという正統な政権の形となった。これらのことから、戦後の政党政治は、「議院内閣制の下で選挙および国会において政党諸勢力が多数派を形成し、政権を獲得するために展開する政党間の競争・協力」(川人、2005)として説明される。本レポートでは、現代民主主義のシステムの中での政党の役割を踏まえた上で、国家と政党の結びつき、社会と政党の結びつきを探ることで政党が「国家と社会との間の積極的な媒介物とすることが可能か否か」を検討していく。
2 政党の位置づけと機能
政党の位置づけ、機能を考えるにあたり重要なのは、なぜ政党が必要とされているのかという存在意義についての視点である。
民主主義制度における代議政治において、国民が自らの意見を反映・活用させるには数を利用することが必要であった。そして政治システムにおいて権力追求するものたちは、国民の数としての支持を求めることとなる。このように、政党は権力を求めるたちにとっては権力の手段として、国民にとっては意思反映の手段として必要なものとなった。
政党の存在意義は国民意識を政策化することであり、政策化した民意を提示、結集することが役割といえる。政策を同じくする者の集まりであることが政党の基本であり、その政党の活動目標は党の政策実現となる。日本のような議会制民主主義の制度下では自党の政策実現の為政党が政権を執ることが目標とされる。
政党は憲法21条の結社により保障されており、一種の団体・組織として理解される。しかし政党法という政党の存在を大前提にした法律の制定により、国民に対しての説明責任をはじめとする責任体制までを含め確立する必要があるといわれるようになっている。しかし、憲法上、日本の政党においてあるのはあくまでも21条の保障のみであり、政党が現状の統治機構の一部を担うことは間違いないとしても、法律で内部体制まで規定する事は結社の自由を妨げ、政党の自主性を損なう結果となり、しいては国民を一定の統制下に置くことにもなりかねない。
3 政党が果たす機能について
政党が果たす役割を大きく4つにわけて述べたいと思う。
1 国民意思の形成媒介
国民意識、つまり国民の要求や意思を受け止め、政策決定の場において審議するのに適した形にしてまとめることである。本レポートの課題文にあるように、まさに「国家と社会の積極的な媒介物」となることが大きな役割である。
2 政治指導者の育成選定
政治のシステム内における様々なポストに指導者としての人員を送り込む手段である。政治的に重要な役職につくには、選挙を通して権力を獲得することが主な手段であるといえる。現在の選挙制度においては政党に属することで、有権者である政党の支持者を選挙に動員し、自らを政党自身のトップに、そしてその先にある政治的重要な地位へ向かうレールの上に乗ったことになるのである。
3政治のシステム化
現代政治は多岐にわたる複雑な社会問題を抱えており、それに伴う政治の巨大化、専門化も著しい。情報化社会においてこのようなすべての問題の政策決定を処理するには、それぞれ組織が違うといえども、専門知識や情報の共有と共通した問題意識が必要であると考える。そしてそのためにはその組織ごと、つまり政党ごとの議員秩序や意識
1 はじめに
政党は国内で組織的な政治主体を形成すると同時に政党それ自体がひとつの政治システムとなっている。政党内閣は戦前では慣行としてしか成立しなかったが、戦後に国会が国権の最高機関の地位を与えられ、新制度である議院内閣制が機能したことから政党は政権を構成し、もしくは倒して構成し直すという正統な政権の形となった。これらのことから、戦後の政党政治は、「議院内閣制の下で選挙および国会において政党諸勢力が多数派を形成し、政権を獲得するために展開する政党間の競争・協力」(川人、2005)として説明される。本レポートでは、現代民主主義のシステムの中での政党の役割を踏まえた上で、国家と政党の結びつき、社会と政党の結びつきを探ることで政党が「国家と社会との間の積極的な媒介物とすることが可能か否か」を検討していく。
2 政党の位置づけと機能
政党の位置づけ、機能を考えるにあたり重要なのは、なぜ政党が必要とされているのかという存在意義についての視点である。
民主主義制度における代議政治において、国民が自らの意見を反映・活用させるには数を利用することが必要であった。そして政治システムにおいて権力追...