? はじめに
数学者パップスは、自著「数学全集」第五巻の中で、13個の多面体の発見はアルキメデスによるものとしている。彼は、次のように記している。「全ての種類の面を持つ多くの立体を思いつくことは出来るが、正則的に構成されたように見えるものは最も注目に値する。これには、神のようなプラトンの中に見られる5つの図形だけでなく・・・アルキメデスによって発見された、等辺・等角だが相似ではない多角形に囲まれた13個の立体も含まれている。」
私は、「正多面体」の形や規則性に興味を持ち、条件を拡張した「準正多面体」について調べてみようと思った。本稿は、「準正多面体」の成り立ちについて述べ、その性質についても述べている。
? 平面充填形
一.一種の正多角形による平面充填
まず、正多角形による平面充填を考えるが、その前に正多角形について述べる。正多角形とは、等辺等角多角形、即ち各辺の長さと各角の大きさがそれぞれ同一であるn角形のことである。但し、nは3以上の自然数である。正多角形は無限個存在する。
正多角形は平面、即ち二次元での話であるが、空間、即ち三次元で考えてみる。これに相当するのが正多面体である。正多面体については授業で詳しく習ったのでここでは後で述べる部分と関係のある部分のみ述べる。
正多面体は五種類しか存在しない。これは次の性質を基礎にしている。即ち、凸な角錐の頂点に会する各多角形の内角の和は、360度より小さい、ということである。この仮定により正多面体は五種類しか存在しない事が示される。
さて、ここでこの仮定を、一つの頂点の周りの内角の和360度とすれば、平面を隙間無く埋める平面充填形ができる。
二.異種の正多角形による平面充填
ここでまた上の仮定を、辺の長さは全て等しいが辺数の相異なる二種以上の正多角形による充填形に拡張して考える。これを始めて研究した学者の名をとって、このような充填形をアルキメデスの平面充填形という。このような平面充填形を表現するには、一つの頂点の周りの各正多角形の辺数をその順に並べて、[4,6,12]のように表す。括弧の中は順不同である。
準正多面体
Ⅰ はじめに
Ⅱ 平面充填形
ⅰ 一種の正多角形による平面充填
ⅱ 異種の正多角形による平面充填
Ⅲ 準正多面体の成立条件
Ⅳ 準正多面体の種類
ⅰ 準正多面体の種類
ⅱ 準正多面体表面の構成
ⅲ 準正多面体の面の個数
Ⅴ 準正多面体による空間充填
Ⅵ おわりに
Ⅰ はじめに
数学者パップスは、自著「数学全集」第五巻の中で、13個の多面体の発見はアルキメデスによるものとしている。彼は、次のように記している。「全ての種類の面を持つ多くの立体を思いつくことは出来るが、正則的に構成されたように見えるものは最も注目に値する。これには、神のようなプラトンの中に見られる5つの図形だけでなく・・・アルキメデスによって発見された、等辺・等角だが相似ではない多角形に囲まれた13個の立体も含まれている。」
私は、「正多面体」の形や規則性に興味を持ち、条件を拡張した「準正多面体」について調べてみようと思った。本稿は、「準正多面体」の成り立ちについて述べ、その性質についても述べている。
Ⅱ 平面充填形
ⅰ 一種の正多角形による平面充填
まず、正多角形による平面充...