1 医療保障の概要
医療保障制度の各国現状をみると大別して、2つに類型化できる。第一は、公費負担で国民に必要な保健と医療をサービスする保険医療サービス方式である。第二は、保険料負担で加入者に必要な医療を費用負担する医療保険方式である。
わが国の医療保障は、医療保険方式を中心に、老人保険や公費負担医療といった保険医療サービス方式の制度も採用している。
2 医療保障の現状
医療保障の目的は、国民が「健康で文化的な生活を営む」ために、病気、傷病、出産などの際、必要な医療サービスを受ける機会を平等に保障することである。
医療保険制度とは、疾病という不確実な事故に備え、危険負担を集団で社会的に行う仕組みであり、個人ではその損失を負担できない危険について集団で平均化しようとする社会的システムである。
わが国では、1961(昭和36)年、国民すべてがいずれかの医療保険制度に強制加入する「国民皆保険」の仕組みをとっている。医療保険制度を大きく分類すると職域保険と地域保健に分かれる。これは保険集団の形成について、職業の形態、同種の職業の者に着目するか、同一の地域内の住所に着目するかの相違である。
職域保険は、さらに被用者保険と自営業者保険組合に分類され、地域保健である国民健康保険は、1つの行政単位が保険集団をなし、市町村が保険者となって医療保険が運営されている。
被用者保険はサラリーマンを対象とする医療保険であり、一般の被用者を対象とするものと特定の職種の被用者を対象とするものに分けられる。
健康保険は、一般の被用者を対象としており、主として中小企業のサラリーマンを対象とする「政府管掌健康保険」と大企業(単一事業所で従業員700人以上)のサラリーマンを対象とする「組合管掌健康保険」とに分類される。
わが国の医療保険制度の概要と問題点
1 医療保障の概要
医療保障制度の各国現状をみると大別して、2つに類型化できる。第一は、公費負担で国民に必要な保健と医療をサービスする保険医療サービス方式である。第二は、保険料負担で加入者に必要な医療を費用負担する医療保険方式である。
わが国の医療保障は、医療保険方式を中心に、老人保険や公費負担医療といった保険医療サービス方式の制度も採用している。
2 医療保障の現状
医療保障の目的は、国民が「健康で文化的な生活を営む」ために、病気、傷病、出産などの際、必要な医療サービスを受ける機会を平等に保障することである。
医療保険制度とは、疾病という不確実な事故に備え、危険負担を集団で社会的に行う仕組みであり、個人ではその損失を負担できない危険について集団で平均化しようとする社会的システムである。
わが国では、1961(昭和36)年、国民すべてがいずれかの医療保険制度に強制加入する「国民皆保険」の仕組みをとっている。医療保険制度を大きく分類すると職域保険と地域保健に分かれる。これは保険集団の形成について、職業の形態、同種の職業の者に着目するか、同一の...