はじめに
20世紀を変えた思想家、ジョン・メイナード・ケインズは、それまで常識であると思われていたアダム・スミス以来の「古典派経済学」に対して、たった一人で批判の声を上げました。「国家が需要を作り出すことで、不況を乗り切れる」という彼の経済理論は、20世紀を変えた経済思想の大革命と言われています。
ケインズが生まれた、ケンブリッジにあるハーヴェイ・ロード。ケインズ自身もそうでしたが、この地には知的エリート、すなわち高貴な義務(ノブリス・オブリージェ)を持った知識階級が多く、「国家を導く政治エリートは間違いを犯さない」という信念(ハーヴェイ・ロードの前提)を彼が持っていた所以と言われます。
さて、ケインズの思想を学ぶ時、私はいつも日本の政治を考えてしまいます。日本の政治はどのようなイメージを持たれているのでしょうか?汚職、天下り、癒着…官のみならず政までもが公共心を忘れ、私欲を貪っている―経済学的に言えば『ハーヴェイ・ロードの前提』が崩れている、となりますが―「政治」という言葉にそんなイメージが植えつけられたのはいつからなのでしょうか。少なくとも、新渡戸稲造が『武士道』を記した時代には、欧米においても日本人の「武士道精神」は「騎士道精神」と同義である、と高く評価されていました。その頃の武士道は、失われてしまったのでしょうか。
1930年代と同等、あるいはそれ以上の危機を迎えている日本社会にとって、政治の信頼回復は急務です。国民一人一人が、政治を支え、真の民主主義国家となるために何か出来ることはないか―私はいつもそう考え、自らの非力さに絶望を覚えます。しかしそんな中であっても、出来ることからやっていくしか道は無いですし、ケインズのような大革命は出来なくても、一人一人が知恵を寄せ合い、リーダーがそれを導いていけば、少なくとも誇りや希望を取り戻すことは出来るのではないか―私はそう思います。
年金改革
~分かりやすい制度を目指して~
はじめに
20世紀を変えた思想家、ジョン・メイナード・ケインズは、それまで常識であると思われていたアダム・スミス以来の「古典派経済学」に対して、たった一人で批判の声を上げました。「国家が需要を作り出すことで、不況を乗り切れる」という彼の経済理論は、20世紀を変えた経済思想の大革命と言われています。
ケインズが生まれた、ケンブリッジにあるハーヴェイ・ロード。ケインズ自身もそうでしたが、この地には知的エリート、すなわち高貴な義務(ノブリス・オブリージェ)を持った知識階級が多く、「国家を導く政治エリートは間違いを犯さない」という信念(ハーヴェイ・ロードの前提)を彼が持っていた所以と言われます。
さて、ケインズの思想を学ぶ時、私はいつも日本の政治を考えてしまいます。日本の政治はどのようなイメージを持たれているのでしょうか?汚職、天下り、癒着…官のみならず政までもが公共心を忘れ、私欲を貪っている―経済学的に言えば『ハーヴェイ・ロードの前提』が崩れている、となりますが―「政治」という言葉にそんなイメージが植えつけられたのはいつからな...