1.はじめに
わが国では少子化社会を迎え、人口動態などの懸念も含めた子どもの存在の重要性、人権尊重が叫ばれている。しかし、それと同時に犯罪の若年化などの問題も見られ、子どもの権利を考える上で重要な転換期にある。国際的にも子どもを1人の人間として尊重する思想が主なものとなっているが、過去にはその存在が冷遇され、過酷な環境に身を置かなくてはならないことも珍しくはなかった。それを象徴するのが、ヨーロッパ中世期におけるブリューゲルの絵画「子供の遊び」である。この絵では、子どもが大人の顔・体つきであって、服装も大人の古着などを身にまとったものが描かれており、この時代までの子どもの存在が「小さな大人」として扱われていたことがうかがえる。子どもが「子ども」としての人生の1つの時期を、段階として明確に認識されるようになったのは、ヨーロッパの場合では、17世紀に学校制度が一般化してからのことであるとフランスの歴史学者フィリップ・アリエスが述べている。
このように、子どもは様々な時代の事象ごとに待遇を変えられてきたが、本当にこのような扱いを続けていてよいのだろうか。それ以前に、子どもとはいったい何であるのだろうか。
「児童の権利に関する条約」制定の背景と意義について述べよ。
1.はじめに
わが国では少子化社会を迎え、人口動態などの懸念も含めた子どもの存在の重要性、人権尊重が叫ばれている。しかし、それと同時に犯罪の若年化などの問題も見られ、子どもの権利を考える上で重要な転換期にある。国際的にも子どもを1人の人間として尊重する思想が主なものとなっているが、過去にはその存在が冷遇され、過酷な環境に身を置かなくてはならないことも珍しくはなかった。それを象徴するのが、ヨーロッパ中世期におけるブリューゲルの絵画「子供の遊び」である。この絵では、子どもが大人の顔・体つきであって、服装も大人の古着などを身にまとったものが描かれており、この時代までの子どもの存在が「小さな大人」として扱われていたことがうかがえる。子どもが「子ども」としての人生の1つの時期を、段階として明確に認識されるようになったのは、ヨーロッパの場合では、17世紀に学校制度が一般化してからのことであるとフランスの歴史学者フィリップ・アリエスが述べている。
このように、子どもは様々な時代の事象ごとに待遇を変えられてきたが、本当にこのような扱いを続け...