1.はじめに
近年、駅の構内やデパート等の公共物におけるバリアフリー化が徐々に進み、障害者の公共施設・機関利用が円滑になり始めている一方で、わが国における障害者の社会参加状況は非常に厳しいものとなっており、今なお目に見えないバリア(障壁)が存在している。このバリアを除去することが、障害者の職業という媒体を通した社会貢献につながり、障害者福祉の増進に発展することとなる。そのためには、まず障害者が置かれている雇用に関する処遇や現行制度についての理解を深め、そこから発見した問題点・課題等を熟慮する必要がある。以下で、障害者雇用の現状と課題について述べる。
2.障害者雇用の現状(施策)について
日本の障害者雇用施策の基本には、1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」がある。この法律は、その名称からも分かるように対象者を身体障害者のみとしていたが、後の1987年の改正で「障害者の雇用の促進等に関する法律」と名称を改め、その対象・内容も身体障害者のみでなく、知的障害者や精神障害者も含めた雇用の促進・安定や職業リハビリテーション対策の推進を図ることと改められた。
同法では国・地方自治体や民間企業等で就労する障害者の一定基準雇用を義務づける「障害者雇用率制度」が導入されており、一般民間企業なら1.8%(常用労働者数が56人以上の企業)、特殊法人なら2.1%(常用労働者数が48人以上の法人)、国及び地方公共団体なら2.1%(都道府県等の教育委員会を除き、職員数48人以上の機関)としている。
障害者雇用の現状と課題について述べよ。
1.はじめに
近年、駅の構内やデパート等の公共物におけるバリアフリー化が徐々に進み、障害者の公共施設・機関利用が円滑になり始めている一方で、わが国における障害者の社会参加状況は非常に厳しいものとなっており、今なお目に見えないバリア(障壁)が存在している。このバリアを除去することが、障害者の職業という媒体を通した社会貢献につながり、障害者福祉の増進に発展することとなる。そのためには、まず障害者が置かれている雇用に関する処遇や現行制度についての理解を深め、そこから発見した問題点・課題等を熟慮する必要がある。以下で、障害者雇用の現状と課題について述べる。
2.障害者雇用の現状(施策)について
日本の障害者雇用施策の基本には、1960年に制定された「身体障害者雇用促進法」がある。この法律は、その名称からも分かるように対象者を身体障害者のみとしていたが、後の1987年の改正で「障害者の雇用の促進等に関する法律」と名称を改め、その対象・内容も身体障害者のみでなく、知的障害者や精神障害者も含めた雇用の促進・安定や職業リハビリテーション対策の推進を図ることと...