英語(イギリス英語)と米語の違いは地域方言あるいは社会方言の差と言える。英語はバルト海沿岸に居住していたアングロ人、サクソン人、ジュート人がブリトン島に移住したときから始まり、その後ノルマン人の征服が英語の発達に影響を与えている。この歴史的背景がそのまま現在の方言分布に残されている点は米語の方言分布には見られない。アメリカ合衆国はイギリス人の移住によって建国されたので、当然米語はイギリス英語に由来する。しかし、アメリカは「人種のるつぼ」といわれるように様々な民族から社会が構成されているため、黒人地域で黒人英語が発達したように各民族の語彙を利用した社会方言の方が地域方言より目立つ。以下イギリス英語と米語の特徴をあげると同時に、特に語彙に関して相違点が多く見られるので語彙を中心に具体例をあげながら比較検討する。
イギリス英語は前述したように、ノルマン人征服以後民族移動がなく、各民族が定住した地域で話された言語が現在の方言につながっている。このような歴史的背景があるため古い形がよく残されている。例えば、名詞の複数形は現代では語尾に-sを付け加えるが、nama(name)→namanのように古代英語の名詞の弱活用複数形語尾-anがそのまま用いられる地域もある。南部や中部ではeyeの複数形はeenである。冠詞についても不定冠詞は標準語同様aだが、定冠詞は南部方言でde, 北部方言ではt, thなどが用いられる。形容詞に関して南部方言では語尾にenが使われる。例:tinnen pots, glassen bottlesなど。また、bettererのように二重比較も見られる。人称代名詞においても南部方言ではIの代わりにich, heには古代英語hineに由来するen, unが用いられ、北部方言ではsheの代わりに古代英語のheoに由来するu, u:, hooが使われている。ハンプシャー方言ではitsはhisで、ランアシャー方言ではtheirは古代英語heoraに由来するherで表わされる。
英語(イギリス英語)と米語の違いは地域方言あるいは社会方言の差と言える。英語はバルト海沿岸に居住していたアングロ人、サクソン人、ジュート人がブリトン島に移住したときから始まり、その後ノルマン人の征服が英語の発達に影響を与えている。この歴史的背景がそのまま現在の方言分布に残されている点は米語の方言分布には見られない。アメリカ合衆国はイギリス人の移住によって建国されたので、当然米語はイギリス英語に由来する。しかし、アメリカは「人種のるつぼ」といわれるように様々な民族から社会が構成されているため、黒人地域で黒人英語が発達したように各民族の語彙を利用した社会方言の方が地域方言より目立つ。以下イギリス英語と米語の特徴をあげると同時に、特に語彙に関して相違点が多く見られるので語彙を中心に具体例をあげながら比較検討する。
イギリス英語は前述したように、ノルマン人征服以後民族移動がなく、各民族が定住した地域で話された言語が現在の方言につながっている。このような歴史的背景があるため古い形がよく残されている。例えば、名詞の複数形は現代では語尾に-sを付け加えるが、nama(name)→namanのよう...