目的
人は1人でいる時と、集団の中にいる時では、異なった特徴を表す(堀・山本・吉田,1997)。集団の中では無意識のうちに、他者からの影響を受けている。このような個人と集団の相互の影響過程は、社会心理学において中心的なテーマとされてきた(齊藤,1987)。
今回は、その中でも「社会的促進」(Social Facilitation)に焦点を当てる。「社会的促進」とは、他者の存在によって個人の行動が促進される現象のことである(齊藤,1987)。逆に、他者が存在することにより、個人の行動が抑制されることもある。これは「社会的抑制」と呼ばれる(岩田,1994)。これらの現象に関しては、オールポートやザイアンス、コットレルら、など多くの研究者が幾つかの説を示しているが、それらは矛盾するものではなく、状況によってどのメカニズムが働くかが変わると考えられる(池上・遠藤,1998)。
本実験では、他者の存在(共行為)が、個人の課題遂行にどのような影響を及ぼすかを、難易度の異なる2種類の文字変換課題を用いて検討し、社会的促進の現象を理解することを目的とする。
方法
1.被験者 成人女性32名(結果・考察の対象となるのは6名)
2.実験課題 文字変換課題2種。文字変換課題とは、提示されたアルファベットに対して、指定された数だけ先の、或いは後の文字に変換させるものである。例えば、”H+1”であればI、”Y-3”であればVとなる。易課題は全て加算式とし、難課題は全て減算式とする。両課題とも指定数は1から3とする。それぞれの1課題は20問とし、計時にはストップウォッチを使用する。
3.実験手続 他者存在の有無(共行為、単独)×課題(難、易)の2×2の要因計画で実験を行った。?被験者の半数は単独条件→共行為条件の順で、残りの半数は共行為条件→単独条件の順で行った。いずれの場合も易課題→難課題の順である。
「社会的促進」
目的
人は1人でいる時と、集団の中にいる時では、異なった特徴を表す(堀・山本・吉田,1997)。集団の中では無意識のうちに、他者からの影響を受けている。このような個人と集団の相互の影響過程は、社会心理学において中心的なテーマとされてきた(齊藤,1987)。
今回は、その中でも「社会的促進」(Social Facilitation)に焦点を当てる。「社会的促進」とは、他者の存在によって個人の行動が促進される現象のことである(齊藤,1987)。逆に、他者が存在することにより、個人の行動が抑制されることもある。これは「社会的抑制」と呼ばれる(岩田,1994)。これらの現象に関しては、オールポートやザイアンス、コットレルら、など多くの研究者が幾つかの説を示しているが、それらは矛盾するものではなく、状況によってどのメカニズムが働くかが変わると考えられる(池上・遠藤,1998)。
本実験では、他者の存在(共行為)が、個人の課題遂行にどのような影響を及ぼすかを、難易度の異なる2種類の文字変換課題を用いて検討し、社会的促進の現象を理解することを目的とする。
方法
1.被験者 成人女...