ズッコケシリーズの人気の秘密
世の中には、たくさんの本がある。しかし、本でも人気のある本と人気のない本がある。その人気を決める要素とはいったい何なのか。小説に限っていえば、すぐに思いつきそうなのは内容や登場人物等であろうが、それだけではない。では他にはどのような要素があるのかというと、例えば題名である。題名というのは人がその本の中で一番最初に見るものである。第一印象が大切だといわれている中、本の題名というのは重要な要素の一つである。しかし、私がとりあげるズッコケ三人組シリーズというのは、人気の要素は「全て」である。ズッコケ三人組シリーズは一九七八年の第一作目の出版から、二〇〇四年の五十作目である「ズッコケ三人組の卒業式」まで、実に二十五年以上も小学生向けのフィクションとして続いていたのである。児童小説でこれほど長く続いたシリーズは珍しい。題名から、登場人物、読書帯、前書きまで全てがズッコケシリーズの人気の要素となっているのだ。では、その「全て」というのを一つ一つ見ていきたいと思う。
人気の秘密を探っていく前に、最初に自分とズッコケ三人組シリーズとの出会い、現状について書いておきたい。自分とズッコケ三人組シリーズとの出会いは、いまでもかなり鮮明に覚えている。小学三年生のときであった。小学校の図書館で月に一回書かなければいけない読書ノートみたいなものを仕上げるために、面白そうな本はないかと探していたところ、「ズッコケ結婚相談所」という本を見つけたのである。この本はズッコケ三人組シリーズの中で特に好きな方というわけではないが、なかなか面白かったので、このシリーズの他の本も読んでみようかなと思った。それから、ズッコケ三人組の本をどんどん購入し、読みつくしていった。小学生の間にそれまででていた本はすべて読んでしまっていたが、中学生、さらには高校生になってからも新作がでるたびに買い続け読んでいた。前述したように、ズッコケシリーズは全部で五十冊あるが、すべてを読み終えて、現在私は四十五冊ほど所持している。
ではまず、題名についてみていこう。五十冊全ての題名に「ズッコケ」が含まれている。本の題名にズッコケという言葉を含むのはこのズッコケ三人組シリーズ以外に聞いたことも見たことがない。私が小学三年生のときにズッコケの本を選んだのも、この「ズッコケ」という言葉に魅かれたからである。
次は主人公だ。ズッコケシリーズの人気の一番の要素はこの三人の小学生の主人公にある。ハチベエ、ハカセ、モーちゃん。誰もが一度は聞いたことはあると思われるこの名前は、ズッコケシリーズの主人公である。この名前も主人公としては珍しい。ハチベエ、ハカセ、モーちゃんの三人には、それぞれメリットもあるが、デメリットもある。ハチベエは運動神経については堪能であるが、はやとちりするきらいがあり、ハカセやモーちゃんが彼を抑制する。また、彼らの知っている知識には様々な違いがある。ハカセは基本的には博識ではあるが、彼にも得意な分野と不得意な分野がある。たとえば、モーちゃんは食べ物のことに関しては詳しいし、ハチベエは芸能やスポーツ情報については詳しいが、勉強のことに関しては全く無知である。
この三人の関係は、いわばグー、チョキ、パーのような関係ともいえる。彼らは互いが互いを修飾し、そして補い合う。この個性豊かな三人組が、身近に起こる様々な事件や冒険に挑戦する姿が読者の圧倒的な共感を得ているのである。主人公のキャラクターというのは、小説が面白いかそうでないかに大きく影響する。主人公が「完璧すぎ」ても、面白くな
ズッコケシリーズの人気の秘密
世の中には、たくさんの本がある。しかし、本でも人気のある本と人気のない本がある。その人気を決める要素とはいったい何なのか。小説に限っていえば、すぐに思いつきそうなのは内容や登場人物等であろうが、それだけではない。では他にはどのような要素があるのかというと、例えば題名である。題名というのは人がその本の中で一番最初に見るものである。第一印象が大切だといわれている中、本の題名というのは重要な要素の一つである。しかし、私がとりあげるズッコケ三人組シリーズというのは、人気の要素は「全て」である。ズッコケ三人組シリーズは一九七八年の第一作目の出版から、二〇〇四年の五十作目である「ズッコケ三人組の卒業式」まで、実に二十五年以上も小学生向けのフィクションとして続いていたのである。児童小説でこれほど長く続いたシリーズは珍しい。題名から、登場人物、読書帯、前書きまで全てがズッコケシリーズの人気の要素となっているのだ。では、その「全て」というのを一つ一つ見ていきたいと思う。
人気の秘密を探っていく前に、最初に自分とズッコケ三人組シリーズとの出会い、現状について書いておきた...