毎年、たくさんの人がインフルエンザにかかる。日本でのインフルエンザとはっきり言える最初の流行は、明治23年暮れから翌年にかけて発生したものである。一方、世界でインフルエンザの大流行が始まったのは、1918年のスペインかぜである。このレポートでは、このスペインかぜがどんなものなのか、そして人間にどんな影響を与えたのか、さらに最近発表されたタンペイ博士らの研究結果をまとめていく。
毎年、たくさんの人がインフルエンザにかかる。日本でのインフルエンザとはっきり言える最初の流行は、明治23年暮れから翌年にかけて発生したものである。一方、世界でインフルエンザの大流行が始まったのは、1918年のスペインかぜである。このレポートでは、このスペインかぜがどんなものなのか、そして人間にどんな影響を与えたのか、さらに最近発表されたタンペイ博士らの研究結果をまとめていく。
スペインかぜは、若年層(20代~40代)の死者を多く出した。普通真っ先に感染する、老人や子どもに感染者が少なかったのだ。スペインかぜは感染力も強く、感染者と接触すると2日後には確実に発病し、都会や人口密集地、沿岸地域で感染率・死亡率が高かった。同じ国でも地域によって流行が始まった時期が異なっていた。
スペインかぜが世界中で流行した時期、第一次世界大戦が勃発していた。そのため、戦争参加国は、戦力に影響を与えるインフルエンザ情報は公表しなかった。このことで、中立国スペインの情報だけが目立ったので、このときのインフルエンザを“スペインかぜ”と呼ぶようになった。スペインかぜは、第一次世界大戦の行方に少なからぬ影響を...