4.1 無帰還時周波数特性(1)
電子電圧計のRANGEを3Vに設定しトランジスタ増幅器の出力端子に接続した.発振器の出力を最小の位置にセットし周波数ダイアルを1kHzにした.トランジスタ増幅器の各スイッチを以下のように設定した.
NFB → 切 → 入
NFB% → Z(=中立) → 0.22µF
各機器間の結線,スイッチの設定を確認して電源を投入した.
発振器の出力を調整し,電子電圧計の指示が0.3V付近となるように設定した.オシロスコープのスイープレンジ,電圧レンジを調整しブラウン管面で見やすい大きさ,周期に設定して,増幅器のおよその利得を測った.
電子電圧計のRANGEを1.0Vに設定して出力が316mV(-10dBV)ちょうどとなるように発振器の出力を微調整する.
電子電圧計をトランジスタ増幅器の入力端子に接続し,入力電圧 を読み取った.このときの入力電圧と出力電圧の比が1kHzにおける増幅器の利得である.
入力電圧 を一定の状態で周波数を変化させた時,出力電圧 がどう変わるかを記録した.周波数を変えたときの利得は
となる.
周波数範囲は10Hz〜2MHzとし増幅器の入力電圧は常に一定で測定した.
4.2 無帰還時周波数特性(2)
増幅器の各SWは,
NFB → 切 → 入
NFB% → Z(=中立) → 2.2µF
に設定し,4.1と同様に周波数の変化に対する利得を測定した.
4.3 帰還時周波数特性(電流帰還)
増幅器の各SWを,
NFB → 入 → 入
NFB% → Z(=中立) → 0.22µF
に設定した.増幅器出力端子の電圧を測定すると4.1,4.2の場合より小さくなっていた.そこで,1kHzにおける発振器の出力を調整して4.1の場合と同じ電圧値に設定した.次に,4.1,4.2と同様に周波数の変化に対する利得を測定した.
目的
本実験では,能動素子にトランジスタを使用した負帰還増幅回路について実験を行い,その特性を調べる.
原理
増幅器の出力電圧または,電流の一部を入力側に戻すことを帰還という.帰還する電圧,電流が入力信号と同位相の時を正帰還,逆位相の時を負帰還という.
負帰還の原理
出力信号を入力側に帰還するとき,電圧で帰還する方法と,電流で帰還する方法があるが,いずれの方法も負帰還は増幅器の特性を改善するために用いられる.図2.1は電圧負帰還の原理図である.帰還のない場合の中域周波数帯における電圧増幅度を ,帰還回路の帰還率を ,負帰還増幅器の出力電圧を ,入力電圧を とすれば,増幅器の入力側に帰還される電圧は, であるから内部増幅器の入力電圧 は,
(2.1)
となる.これが 倍されて出力となるから,出力電圧 は,
(2.2)
となる.上式を について解けば,
(2.3)
上式より帰還増幅回路の利得 は,
(2.4)
となる.ここで, をループ利得という.
なので であることに注意する.
図2.1 帰還回路
利得の安定化
CR結合形一段増幅回路に帰還をかけた場合の1例を図2.2に示す.ただ...