連関資料 :: 孫文

資料:2件

  • 革命家・国父としての
  • 1.はじめに  ある国家において、父や母という言葉を使って崇められる人物は、当然その国家の建国上重要な働きをした人物につけられる。言葉の意味の通り、国家誕生に貢献した人物であるからだ。また、時にそれも政治的目的によってなされる場合もある。そして概して、そのような国家は近現代において誕生した国家であり、単独政党が政権を担う国家であることが多い。国の父などの言葉をもってして、ある人物を祭り上げ、それに続く自分たちに正当性を付与することを目的とするからである。いずれにせよ崇められている人物を知ることは、その国家の近代史を知ることであり、政治状況を知る一つの手がかりになる。 2.孫文の位置づけ  今日、中国・台湾の双方において孫文は偉大な革命家であり、国父であると称されている。中国・台湾双方において孫文ゆかりの史跡・博物館などは数多い。南京には孫文の遺体が安置されているとされる中山稜があり、また孫文ゆかりの地である広州には中山記念堂などの施設がある。台湾では、よりいっそう国父としての扱いが強い。台湾の紙幣には孫文の顔が印刷されていることからも伺えるだろう。台北市内にある国父記念館には、椅子に座る巨大な孫文像が鎮座し、その両サイドには儀仗兵が警護に付き、毎正時には儀仗隊による交代儀式が行われ、厳粛な雰囲気が漂う。中国国民党の本部には、一階エントランス中央に孫文像があり、壁も孫文の写真が飾られている。  中国と台湾双方において、国父とされる孫文ではあるが、そのニュアンスは決して同じではない。現共産党統治下の、中国においては孫文は、延々と続く皇帝統治下の封建社会を打倒し、辛亥革命を達成した偉大なる革命の先人である。その意味において、共産党にとっても孫文を否定する要素はないのである。
  • レポート 国際関係学 中国 孫文 指導者 台湾
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