「そんな話は聞いていない。寝耳に水だ!」この言葉は、国や自治体がイニシアチブを取って進める計画や行動に対する地元住民を含めた利害関係者が反対を表明する際の常套句である。自治体の計画の決定や実施過程において、関連の手続きさえ改めていれば、行政と住民との間で起るトラブルを最小限に防ぐことができたであろう問題は数え切れないほどある。
このような官僚や自治体職員を主体とした「合意形成」は今に始まったことではない。およそ戦後から1990年代半ばにかけて、いわば常態化していた。そのため、合意形成に至るまでのプロセス、例えばごみ処理場やし尿施設を建設する場合、どのようなプロセスを経てその土地が選定されたのか、なぜその土地が候補地として選定されたのかなどは基本的に密室にて協議され、一般には非公開とされてきた。
しかし、官が主体となって進めてきた計画や事業に関しては、いざ実行の段階になると、市民の反発やそもそも市民の関心がないため協力を得られず、結果として成果があがらないことが分かってきた。その代表例は、県や自治体が中心となって制定されてきた環境基本条例などであろう。1992年の地球サミット以来、日本各地において環境への関心が高まり、各自治体においても環境基本条例制定の動きが活発化した。だが、条例が制定され施行の段階になっても、市民の関心は低い。そもそも、そのような条例が制定されたこと自体知らない市民も多い。そのため、当然のごとく市民の協力を得られず、実質有名無実化している。
このような状況を回避するために、欧米を中心として、市民を合意形成のプロセスに参加させるいわゆるパブリック・インボルブメントの動きが活発化してきた。市民の協力を得、計画や条例において成果を上げるためには、市民を巻き込んだ市民参加による合意形成が不可欠であるとの認識からである。
「地方自治」における合意形成レポート
「そんな話は聞いていない。寝耳に水だ!」この言葉は、国や自治体がイニシアチブを取って進める計画や行動に対する地元住民を含めた利害関係者が反対を表明する際の常套句である。自治体の計画の決定や実施過程において、関連の手続きさえ改めていれば、行政と住民との間で起るトラブルを最小限に防ぐことができたであろう問題は数え切れないほどある。
このような官僚や自治体職員を主体とした「合意形成」は今に始まったことではない。およそ戦後から1990年代半ばにかけて、いわば常態化していた。そのため、合意形成に至るまでのプロセス、例えばごみ処理場やし尿施設を建設する場合、どのようなプロセスを経てその土地が選定されたのか、なぜその土地が候補地として選定されたのかなどは基本的に密室にて協議され、一般には非公開とされてきた。
しかし、官が主体となって進めてきた計画や事業に関しては、いざ実行の段階になると、市民の反発やそもそも市民の関心がないため協力を得られず、結果として成果があがらないことが分かってきた。その代表例は、県や自治体が中心となって制定されてきた環境基本条例などであろう...