自閉症状が見られるものには、広汎性発達障害やレット症候群、小児期崩壊性障害
やアスペルガーなどが挙げられる。中でも、高機能自閉症やアスペルガーなどのように知的レベルの高い症状を除いた自閉症児には比較的類似した特徴が見られる。興味・関心の狭さや知覚過敏による耳ふさぎ行動、同一性の保持や反復行動、エコラリアがそれである。
特に顕著な特徴に、コミュニケーションの困難さ、人間関係を築く困難さがある。例えば、初対面であるボランテイアの学生が自閉症の子のもとへ遊びに来たとしても、その子は突然やってきた学生を受け入れたりはしない。だからと言って一方的なこちら側の意図だけでその子と遊ぼうとしてはならない。その子に、「危険な人」ではないことをわかってもらう必要があり、段階にそった接し方をしなくてはならない。その一つの手段として、プロンテイングを行う方法がある。一つ目のプロンテイングは聴覚にうったえることで注意を向けさせ、二つ目は視覚にうったえてモデルを示し、三つ目は身体動作の統制を行う。これは、三項随伴性において正の強化を行うための手がかりを与える。そのため、コミュニケーションを計ろうとする上で非常に有効な方法である。例えば、ボール遊びでコミュニケーションを計ろうとする場合には、初めは子どもに呼びかける。それでもこちら側に注意を向けないときは、これから行うべき行動(ボールをかごに入れるなど)を大人がモデルとなってやって見せる。それでもなお反応を示さないときは大人がその子の手を持って直接ボールをかごに入れさせる。尚、プロンテイングを行った場合は、大人が与える手がかりをなくしても自発的に行動をとれるようにフエイデイングを行うことも大切である。他にも、子どもがとっている行動を大人がまねをすることでその子自身がやっていることをわかってもらうコミュニケーションのとりかたもある。加えて、幼児期は養育者に愛着を示さず、相互的な行動よりクレーン現象のような道具的な形で一方的に欲求を満たそうとする行動も見られる。発話が増えてくると、少しでも会話的なコミュニケーションをとろうとするために、文の後半部をエコラリアすることが多いという特徴を用いて、大人が「お名前は○○君です。」と言った後、子どもに後半部の「○○君です。」を返させる相互的な方法をとることもある。
自閉症児は、コミュニケーションへの動機がほとんどないために、言葉の発達が遅れることも認識しておかなくてはいけない。したがって、ことばの概念形成が困難なこのような子どもたちは聴覚的な情報よりも視覚的な情報量の方が多い。そんな子たちに、言葉と行動を結び付けてもらうには、「ブラシを使って髪をとく」などのように、実際の「道具」と、それと関係のある「行動」を模倣する学習が効果的である。さらに、自閉症児の認知機能にはワンセット知覚が働くため、その子の行動範囲にはできるだけ同じようなものを置くといった般化も必要になる。
現在では一般的に行われている対応・治療として、子どもが望ましくない行動をとった時、あえて叱ったり注意・関心を向けたりせずに望ましい行動をとった時にほめるといった行動療法や、太田のステージによる認知発達治療、遊戯療法などが見られる。さらにそれらの様々な対応は自閉症の症状や程度・年齢に合わせて使い分けられるようになっている。また、一般に自閉症は完治しない障害であると言われている。そのため、環境自体を自閉症児に合わせるTEACCHプログラムが最も多く活用されている。このプログラムには、「物理的構造化」や、視覚的スケジュールがあ
自閉症状が見られるものには、広汎性発達障害やレット症候群、小児期崩壊性障害
やアスペルガーなどが挙げられる。中でも、高機能自閉症やアスペルガーなどのように知的レベルの高い症状を除いた自閉症児には比較的類似した特徴が見られる。興味・関心の狭さや知覚過敏による耳ふさぎ行動、同一性の保持や反復行動、エコラリアがそれである。
特に顕著な特徴に、コミュニケーションの困難さ、人間関係を築く困難さがある。例えば、初対面であるボランテイアの学生が自閉症の子のもとへ遊びに来たとしても、その子は突然やってきた学生を受け入れたりはしない。だからと言って一方的なこちら側の意図だけでその子と遊ぼうとしてはならない。その子に、「危険な人」ではないことをわかってもらう必要があり、段階にそった接し方をしなくてはならない。その一つの手段として、プロンテイングを行う方法がある。一つ目のプロンテイングは聴覚にうったえることで注意を向けさせ、二つ目は視覚にうったえてモデルを示し、三つ目は身体動作の統制を行う。これは、三項随伴性において正の強化を行うための手がかりを与える。そのため、コミュニケーションを計ろうとする上で非常...