すなわち、無機的性質のような“一対一”にとらわれていない表現を文字は有しているというのだ。改めて記しはしたがこの事は当然のことであり、文字におけるコミュニケーションには必須である。
これには、時代背景や人物背景も含まれる。普段使わない言葉を使えばそれは違和感に繋がるし、人物の特徴を表すのも言葉の選択などである。ただし、これは相互に共有した解釈があるからこそ可能なのであり、コミュニケーション相互の関係性が非常に問われる。
ゆえに、一意的に伝わらない可能性を含み、全く関係性のない相手とのコミュニケーションでは無意味なものとなるばかりか、誤解を多く含んでしまう。他、文字の形によっても感情が示せるし、色を変える、太字にするでもかなり印象を換えるとともに、伝えられる。視覚的表現も文字は持っていると言える。
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はじめに
この講義で最も興味を引いたのは、文字は有機的性質と無機的性質の両方の特性を有し
ていると感じた事である。ここでは、無機的性質を“文字を有限の数を持った記号とし、
対象と一対一対応の機能を持つ性質”とし、有機的性質を“無機的性質以外の性質”とす
る(便宜上名付けさせていただいた)。それぞれの性質については後ほど扱うとして、受講
する以前の私は文字の持つ無機的性質ばかりを気にしてしまい、有機的性質の理解に欠け
ていた。ゆえにその対比を含めてこのレポートで述べようと思う。
無機的性質について
無機的性質であるが、ここでは“一対一対応”というのがミソである。人から人に意思
を伝達する際に、まず意志を言語に、その言語を文字に、文字を見て言語に、言語から意
志にするというプロセスにおいて、文字はその介在の一端に過ぎないということだ。文字
に記録する仕事を求めるならば、その文面上の意味が相違なく伝わることを求めるし、ま
さにディジタルの要素を持った“一対一対応”が求めら...