はじめに、「自我同一性(Self Identity、セルフ・アイデンティティ)」とは、自分は何者であり、何をなすべきかという個人の心の中に保持される概念のことを言う。エリクソン(1902〜1994)はこれを「内的な不変性と連続性を維持する各個人の能力が他者に対する自己の意味の普遍性と連続性に合致する経験から生まれた自信」と表現している。また「発達課題(developmental Task)」とは、「人間が健全で幸福な発達をとげるために各発達段階で達成しておかなければならない課題」であり、「次の発達段階にスムーズに移行するために、それぞれの発達段階で習得しておくべき課題がある」とされている。また、各段階には健全と相反する危機(crisis)が存在し、健全な傾向をのばし、危機的な傾向を小さくしなければならない。一般に、発達課題は自己と社会に対する健全な対応にとって必須の学習であるという意義と、 本質的には一定の期間内で学習されなくてはならずその後も存在しつづける課題もあるが、その意義は弱化していくという特徴を持つ。
自我同一性を獲得するための乳幼児期における発達課題は、愛着の成立・情動の発達・認知の発達・自己の発達とおおきく4つ挙げられる。まず愛着の成立についてだが、愛着(attachment)とはある特定の対象との間に形成されている情愛の絆のことを指す。愛着行動には泣き叫んだり笑ったりする発信行動と母親を目で追いかけたりはいはいをしたりして養育者の所在を確認しようとする定位行動、そして抱きつきや後追いなどをして対象者に触れようとする能動的身体接触行動がある。愛着の成立過程は主に4段階にわかれていてその内容は以下の通りである。
・第一段階(〜12週)… 人物の識別を行わない定位と発信
・第二段階(12週〜6ヵ月)… 一人の人物への定位と発信
・第三段階(6ヵ月〜3歳)… 発信及び移動による特定対象への近接の維持
~自己同一性の獲得における発達課題と意義~
はじめに、「自我同一性(Self Identity、セルフ・アイデンティティ)」とは、自分は何者であり、何をなすべきかという個人の心の中に保持される概念のことを言う。エリクソン(1902~1994)はこれを「内的な不変性と連続性を維持する各個人の能力が他者に対する自己の意味の普遍性と連続性に合致する経験から生まれた自信」と表現している。また「発達課題(developmental Task)」とは、「人間が健全で幸福な発達をとげるために各発達段階で達成しておかなければならない課題」であり、「次の発達段階にスムーズに移行するために、それぞれの発達段階で習得しておくべき課題がある」とされている。また、各段階には健全と相反する危機(crisis)が存在し、健全な傾向をのばし、危機的な傾向を小さくしなければならない。一般に、発達課題は自己と社会に対する健全な対応にとって必須の学習であるという意義と、 本質的には一定の期間内で学習されなくてはならずその後も存在しつづける課題もあるが、その意義は弱化していくという特徴を持つ。
自我同一性を獲得するため...