「暴力についてのセビリア声明」は、1986年、国連・国際平和年の一環としてユネスコがスペインのセビリアで開催した国際会議において、心理学・社会学・動物行動学・生物学などの専門分野に属する5大陸12カ国20人の研究者の手によって起草された。その後、ユネスコは1989年の総会で「声明」の普及促進を決定し、1991年には、これを中学・高校の平和教育・国際理解教育などで活用できるようにパンフレットを発行する。
「暴力についてのセビリア声明(The Seville Statement on Violence)」は、「戦争は人間性(human nature)に内在するものであるからなくすことはできない」という人間性に関する非生物学的悲観主義を明確に否定し、若い世代に平和創造の展望を与えるためにまとめられた科学者たちのメッセージです。
なぜそのような声明が必要だったのかというと、戦争と暴力は人間性に内在しているのだから避けることができない、とする神話を取り払うことが、平和を生み出す力を強くし、実際に行動する支えとなるからである。自らも日本での声明普及に努めた杉田明宏は、「無意識のうちに入り込んでいる生物学主義のペシミズムが、実は根拠に乏しいものであることを知ることによって、暴力に支配されているかのように見えた人間世界にも、平和憲法によって半世紀のあいだ戦争参加を否定するような事例もあることに目が向くようになる。換言するなら、生物学主義的ペシミズムにとらわれた人間観(人間性についての誤った信念)から解放することによって、彼らに平和な世界を創造する展望と意欲と力を与えることができるのではないか」と捉える。
例えば理科ではダーウィニズムの自然淘汰や生存競争がそのまま人間社会にも当てはまるのだという誤解を放置していないだろうか。「食物連鎖」と「戦争」はまったく別のものである。
「暴力についてのセビリア声明」について
「暴力についてのセビリア声明」は、1986年、国連・国際平和年の一環としてユネスコがスペインのセビリアで開催した国際会議において、心理学・社会学・動物行動学・生物学などの専門分野に属する5大陸12カ国20人の研究者の手によって起草された。その後、ユネスコは1989年の総会で「声明」の普及促進を決定し、1991年には、これを中学・高校の平和教育・国際理解教育などで活用できるようにパンフレットを発行する。
「暴力についてのセビリア声明(The Seville Statement on Violence)」は、「戦争は人間性(human nature)に内在するものであるからなくすことはできない」という人間性に関する非生物学的悲観主義を明確に否定し、若い世代に平和創造の展望を与えるためにまとめられた科学者たちのメッセージです。
なぜそのような声明が必要だったのかというと、戦争と暴力は人間性に内在しているのだから避けることができない、とする神話を取り払うことが、平和を生み出す力を強くし、実際に行動する支えとなるからである。自らも日本での声明普及に努めた...